日テレは、Huluで100億円稼げるか? 船越雅史・コンテンツ事業部長に聞く(下)

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――Hulu向け独自コンテンツの制作も視野に入っていますか?

これはまだ試案段階ですが、考えてはいます。ただ、繰り返しになりますが、日本テレビのHuluとは考えていないので、想定しているのは、他局やアニメ制作会社と一緒に、Hulu向けコンテンツの制作をやりたいという方向です。

日本テレビでも「制作体制の強化」は課題になるでしょうね。かつては地上波放送向けだけに制作していればよかったものが、今ではBS放送向けのドラマ制作も始まっています。BSだと年輩の方向けの骨太な作品が必要になりますし、CS放送向けにはおカネを払ってでも見たいコンテンツ、ここでしか見られない野球のライブ放送などが必要になる。では、動画配信らしいコンテンツは何だろうか。現時点では、地上波放送の補完として日テレオンデマンドがありますが、将来的にはそうではないかもしれない。

現時点では、人気バラエティ番組のテレビ放送しなかった部分を再構成して、ディレクターズカット版を配信するなどが、Huluで配信する「独自コンテンツ」として現実的かなと思いますが、表現や制作の方法は今後、動画配信独自のもの、地上波放送とは違う形に変化するのは避けられないのかもしれませんね。

――日本テレビグループでは2012~15年の中期経営計画の中で、総額500億円の投資枠を設定し、新規事業を開発するとしています。今回のHulu日本事業の子会社化はこの一環と考えていいのでしょうか?

一環です。総額500億円の投資枠内での新規事業となります。Huluの日本事業の譲受にかかる金額はまだ未公表ですが、2015年まで、さらに積極的な投資は続けられると思いますよ。今年新年のあいさつの中で社長が言っていた「破壊と創造だ。リスクのない商売はない」の言葉に、その心意気が表れていたように思います。

中原 美絵子 フリーライター

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なかはら みえこ / Mieko Nakahara

金融業界を経て、2003年から2022年3月まで東洋経済新報社の契約記者として『会社四季報』『週刊東洋経済』『東洋経済オンライン』等で執筆、編集。契約記者中は、放送、広告、音楽、スポーツアパレル業界など担当。

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