日テレは、Huluで100億円稼げるか? 船越雅史・コンテンツ事業部長に聞く(下)
ジブリ作品の配信はあるか
――民放キー局の中で、最もドラマの放送枠が少ない中で、アニメやドラマがキラーコンテンツになるのでしょうか。
そうなんですよね。これまでの1話300円という都度課金制では、アニメ、ドラマ、野球のライブ配信がキラーコンテンツになっています。日本テレビはバラエティ番組で支持を得ているものが多いので配信もしているのですが、バラエティはどこから見ても面白いように作られていて、先週見なかったから今週見ても内容がわからないということがないのですね。ドラマと違って「見逃し配信」というカテゴリーだと、需要がないのは確かです。
ただ、見放題の定額制であれば、見てみようかなという動きが出てくるかもしれません。日テレオンデマンドやDVDで需要があるバラエティ番組「旅猿」「しゃべくり007」や「笑神様は突然に」「有吉ゼミ」などの作品はHuluでも配信の対象になるような気がしています。
――アニメでは、2014年1月にタツノコプロを子会社化されています。今回のHulu日本事業買収の伏線だったのでしょうか?
これはまったく違うところから出た話です。タツノコプロには「ガッチャマン」「みなしごハッチ」「ハクション大魔王」「ヤッターマン」「タイムボカン」シリーズなど、すばらしい作品があって、今はあまり活用されていません。これらを一緒に制作すれば、商品化、海外販売など新たな事業の可能性が広がると考えて子会社化しました。ただ、こうなったからにはHuluでの「タツノコチャンネル」など、新たな展開も期待できます。
――日本テレビと関係が深いスタジオジブリの作品を、限定配信ということも考えられますか?
他社のことですのでまったくの憶測ですが、ドワンゴの川上量生会長がスタジオジブリの鈴木敏夫さんのところに弟子入りしているので、配信戦略については鈴木さんの頭の中で描かれているとは思いますけれども。これは日本テレビが考えられることではありませんが、そこはいくつものハードルがあるので難しいでしょうね。
日本テレビが制作にかかわったアニメに「アンパンマン」がありますが、このアンパンマンを配信するのは、非常に抑制的に考えてきました。出せば売れるコンテンツなのは間違いありませんが、ターゲットが0~4歳なんですね。そのくらいの年齢の幼児たちがスマホでアニメを見ていいのか。たとえば電車の中で、泣いた子どもの気分転換をさせるために10~15分だけスマホで見せるなどの使い方は考えられます。アニメにはそのブランドが背負っているものがあり、これはデジタル事業とは一線を画すものです。Huluではそういった点からも、どのような作品をどのように提供していくか、慎重に考えていきたいと思います。
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