このサバ州立鉄道、もともとはイギリスがこの地を統治するために設立した北ボルネオ会社が建設し、1896年に開業したのが始まりである。木材や農作物の輸送がこの鉄道の主な建設目的であった。
マレー半島側の鉄道とまったくつながりはないものの、いずれもイギリス時代に造られ、軌間1000mmのいわゆるメーターゲージという点は共通している。
鉄道の存在意義は…
現存する路線はコタキナバルの街はずれにあるタンジュンアルを起点にボーフォートまで約85kmの本線と、ボーフォートからテノムまでの約50kmの通称「山線」で構成されている。
近年、タンジュンアルからコタキナバル市内方面のセンブランまで4kmほど路線が延長されたが、コタキナバル―ボーフォート間は並行して高規格道路が整備されていることから、鉄道の存在意義はほぼないと言っても過言ではない。そもそも、公共交通機関自体がミニバスと呼ばれる乗り合いバン程度で、マイカーが生活に浸透している。建設当初の目的であった貨物輸送も今はほとんど行われていない。
タンジュンアル―ボーフォート間も1日2往復しか運行しておらず、センブランまで乗り入れるのはそのうち1往復のみだ。片道の所要時間は約2時間強で、車に対して競争力はほとんどない。それでも運賃が非常に安いため、沿線住民の朝夕の通勤手段として使われており、座席が埋まる程度には利用されているという印象である。
サバ州立鉄道とキハ8500系
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サバ州立鉄道の本線を行くキハ8500系2両編成
(筆者撮影)
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タンジュンアル駅に停車中のキハ8500系
(筆者撮影)
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8502と8503の連結面。再びこのように両車が
手を結ぶとは夢にも思わなかった(筆者撮影)
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サバ州立鉄道の旧ロゴ(右)は大阪市交通局のマークを
彷彿させるデザインだ(筆者撮影)
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シートはレザー張りに交換されているが、それ以外は
日本時代そのままだ(筆者撮影)
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速度表示付きのLED表示器などは注意喚起の
ステッカー類でふさがれている(筆者撮影)
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車内には会津鉄道時代のポスターが
(筆者撮影)
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自慢の前面「ワイドビュー」も健在だ
(筆者撮影)
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運転台。2両編成になったことをしっかり認識している。
キハ85と組んで最大12両運転が可能だ(筆者撮影)
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日本では海とは無縁だったキハ8500から望む南シナ海
(筆者撮影)
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本線の主役、中国南車製プッシュプル列車(左)
編成の一端に機関車を連結して走る(筆者撮影)
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代走を務める別の中国製の機関車。後ろの客車は
元イギリス製の気動車だ(筆者撮影)
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キハ8500と前後して導入されたインド製レールバス
(筆者撮影)
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キナルート車庫で並ぶキハ8500とインド製レールバス
(筆者撮影)
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山線用の客車。日本製の小型機関車がけん引する
(筆者撮影)
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山線用の日本車輌製造製ディーゼル機関車
(筆者撮影)
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山線用の川崎重工業製機関車。サバ州立鉄道には
日本製車両が多く導入されている(筆者撮影)
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サバ州立鉄道は現地旅行会社と協力し、観光SLを
北ボルネオ鉄道の名前で運転している(筆者撮影)
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SL列車用の川崎重工製客車。車内で地元料理が
振る舞われるなど本格的観光列車だ(筆者撮影)
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立派なタンジュンアル駅。これは空港拡張時に
空港運営会社の補償で移転したためだ(筆者撮影)
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ボーフォート駅にあるデルタ線の一辺。キハ8500が
1両で走る際はここで方向転換する(筆者撮影)
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チケットはバーコード式だが、とくにチェックはない
(筆者撮影)
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