新型肺炎で外出できない「中国人」が頼る離れ業

一度ほぼ撤退した「無人化」が再脚光浴びる

無接触サービスは市民生活だけでなく、より感染リスクの高い病院でも積極的に導入されている。広東省の病院では人間の代わりに、2体のロボットが医療廃棄物や衣類の回収、薬と食事の配達を担う。10日弱の超突貫工事を経て2月2日に完成した武漢市の火神山医院には、客が自分で決済する「無人スーパー」がオープンした。

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実は無人店舗は、中国ではかつて失敗の烙印を押されたビジネスモデルでもある。アリババのジャック・マー前会長が2016年10月、オンラインとオフラインを融合させて小売業にイノベーションを起こす「新小売り(ニューリテール)」というコンセプトを提唱すると、翌2017年には「新小売り」を体現するモデルとして中国各地に無人コンビニがオープン、大ブームとなった。

アリババは顔認証で入店から決済まで完了できる無人コンビニのコンセプト店舗を発表し、中国EC2位の京東集団(JD.com)はロボットが料理を作る無人レストランをオープンした。

だが、客から見える場所は無人でも、商品の補充やシステムの保守に人手がいり、出店コストも低くないなど、コスト面でさほど優位性がないことが次第に露呈。無人バブルは2019年に崩壊。店舗のほとんどが撤退した。

安全性の担保で、再び注目を集めている

ところが新型肺炎の流行で、無接触や無人サービスは「安全性を担保する」という新しい役割を与えられ、再評価されているというわけだ。陳さんは、春節から15日目にあたる元宵節(2月8日)に、毎年の習慣である湯元(もち米の団子)をどうしても食べたくなり、スーパーから宅配を頼んだ。

宅配された料理には調理や配送に関わったスタッフの体温が記載されている(筆者友人提供)

配送員は敷地の入り口で商品を置いて立ち去り、陳さんは受け取ると急いで自宅に戻った。商品には配送者が発熱していないことを証明する体温カードも添えられていた。

陳さんは「17日から仕事が再開すると、今のように部屋にこもって自炊でしのぐことも難しい。無接触配送はいい考えだけど、まだ改善の余地があります」とやや不安げだ。

人間と会うことがリスクという前代未聞の事態に直面する中国。国民や経済にとって巨大な試練であるのは間違いないが、消えるかのように見えた無人サービスが、真の需要によって復活の機会を与えられ、さらなる進化を遂げるかもしれない。

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