2つの事件でドイツ政局が不気味になってきた メルケル退陣が近づく中、後継者も失脚

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こうした経緯で選ばれた人物を即座に辞任まで追い込むドイツの自浄能力には安堵感を覚えるが、ほかならぬ政権政党であるCDUが「極右の力を借りた州首相」の誕生に一役買ってしまったという気持ち悪さは残る。また、AfDがキャスティング・ボートを握り、地政や国政への影響力を行使する環境が生まれ始めていることも今回の事案で明らかになった。

ここで政党支持率を見ると、連立政権を形成するCDUとSPDで約40%、緑の党が野党・第1党で22%、AfDはこれに次ぐ14%で野党・第2党である。今後、チューリンゲン州で起きたような混乱が起きても全く不思議ではない。

退任に追い込まれたクランプカレンバウアー氏

こうした地政の混乱は国政にも影響を及ぼした。これが2つ目の事件だ。早期辞任に至ったとはいえ、「国政第1党のCDUが極右政党と一緒になって候補者を支持した」という事実は軽くない。

クランプカレンバウアー党首は、ケメリヒ氏支持はあくまでチューリンゲン州の党組織による独自判断であり、CDUとしてAfDや自由民主党と連立する考えを持っているわけではない、との立場を表明した。だが、当然、国政で連立を組むSPDは「タブーを破ったCDU」に不満を持つ。おりしもSPDが左派路線への回帰を目指しているとされていたところであり、「極右と結託したCDU」と連立を続けることについて党内外からの風当たりは厳しくなるだろう。連立には亀裂が入ったといえる。

こうした混乱の最中、10日にクランプカレンバウアー氏が党首を辞任したうえで次期首相候補になることもあきらめる方針を表明した。左右両極に分散する支持率、保守と中道で分裂する党内情勢を「強い遠心力」と表現しての退場であった。

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