今さら聞けない「肺炎」と「風邪」の違い超基本 そもそも「コロナウイルス」とはいったい何か

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細菌とウイルスは異なるものであるため、ウイルスには抗生剤や抗生物質といった細菌を退治するための薬は効きません。また、ウイルスは変異を繰り返していることもあり、一般に抗ウイルス薬は少数しか開発されていません。

今回の新型コロナウイルスによる肺炎は、ウイルス性肺炎に分類されます。過去に報告されたコロナウイルスとは遺伝⼦構造が異なっていることから「新型」と呼ばれています。

病原微生物で分類した肺炎の種類
ウイルス性肺炎:インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、水痘ウイルスなど
細菌性肺炎:肺炎球菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌など
非定型肺炎:マイコプラズマ、クラミジアなど
(出所)各種資料より筆者作成

いずれも、感染の経路としては、発症している人の唾液などに含まれる病原微生物が、口や鼻から入り込んで感染する「飛沫感染」と、ドアノブなどに付着した病原微生物が自分の手を経由して口や鼻から体の中に入り込んで感染する「接触感染」があります。

なお、高齢者によく起こる肺炎の大部分は、「誤嚥(ごえん)性肺炎」と呼ばれるものです。これは、本来食道を通って胃に入るはずの食べ物や、唾、たんなどが、誤って気管に入った結果、細菌が肺に入ってしまうことで起こります。2018年には、65歳以上の死亡者の死因の第5位が「肺炎」、第6位が「誤嚥性肺炎」となっています。

SARS、MERSは「二類感染症」

国内では、感染症法(正式には「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」)に従って、感染症の拡大を防止措置がとられています。各感染症は、危険性が高い順に「一類」~「五類」に分類されます。

さらにこれらの分類以外に、新たな感染症に対しては、「新型インフルエンザ等感染症」「指定感染症」「新感染症」という分類があります。分類ごとに保健所への届出内容や対策が異なります。指定感染症とは、これまで感染症法に指定されていない既知の感染症のうち、緊急で患者の行動を制限することが必要な場合に、最大2年間に限り措置を行えるようにするものです。

SARS、MERSは、発生当初は、一時的に指定感染症(一類相当)に指定されましたが、一定期間を経て、現在は二類感染症に分類されています。一方、風邪の原因となっている4つのウイルスは、危険性が低いため、分類の指定はありません。

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