「エル特急」日本全国を駆け巡った名列車列伝 往年の鉄道少年「憧れの列車」を写真で回想
1975年3月の山陽新幹線博多開業によって、新幹線接続特急として増発された九州の「にちりん」「有明」がエル特急になり、同年7月には北海道初のエル特急として「いしかり」が札幌―旭川間の運行を開始した。当初、同列車には485系1500番台が投入されたが、1980年には北海道向けに新規開発された781系に変わり、運行区間も札幌―室蘭間へ延伸された。こうして、北海道から九州まで全国的にエル特急網が完成した。
そして、さらにエル特急が話題となるきっかけとなったのは、「ゴオサントオ」といわれた1978(昭和53)年10月のダイヤ改正から登場した特急の絵入りヘッドマークだった。このヘッドマーク導入により、折からの「ブルートレインブーム」とも相まってエル特急は少年鉄道ファンたちの人気者となった。
ちなみに、拙著『ケイブンシャの大百科 特急・急行大百科』は1977年6月に初版が刊行された。エル特急が話題となるであろうことを想定して全国の特急・急行列車をすべて取材して掲載したもので、当然ダイヤ改正前だったので「絵入りヘッドマーク」は間に合わなかったが、この本は絵入りヘッドマークが出そろった1978年には8版を重ね最終的には14版までのベストセラーになった。
JR化後のエル特急
昭和50年代半ばの上野駅や大阪駅には、エル特急の絵入りヘッドマークを撮影する鉄道少年たちの姿が数多く見られた。父親はエル特急に乗ってあくせく働き、子どもはカメラを持ってエル特急撮影という時代だった。
1987年に国鉄が解体されJRとなってからも、全国のエル特急は健在だった。ちょうど国鉄分割民営化の時期はバブル絶頂期にも重なり、出張族には気軽に乗れるエル特急は必須アイテムで、新生JRも次々とエル特急に新型電車を投入した。
例えばJR北海道は「スーパーホワイトアロー」785系、JR東日本は「スーパーあずさ」351系、「スーパーひたち」651系、JR東海は「ワイドビューしなの」383系、JR九州は「ハイパーサルーン」783系、「つばめ」787系などだ。
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