「婚活」マッチングに銀行が乗り出す深い事情 出会いを求めるパーティーはキャンセル待ち

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名古屋市を中心に発達支援の幼児教室や個別支援塾を展開するGUTS(本社・名古屋市)は、名銀からの紹介によって結婚相談所に進出。子会社GUTS PLUSを設立し日本結婚相談所連盟に加盟、2019年4月に「結婚相談クリニック L-plus(エルプラス)」を開業した。

GUTS PLUSの中村代表は、メンタルケア心理士の資格を持つ。心理カウンセラーとして医療機関の勤務経験もあり、GUTSでは発達支援に取り組んできた。エルプラスのほうでは心理カウンセリングの知識を生かし、「一方的にアドバイスするのではなく、会員の話をじっくりと聞き、寄り添う形で婚活を支援していきたい」と語る。プレミアムコースでは独自開発した心理メソッドも受けられる。

まずは知り合いからの紹介を手始めに会員を増やし、今年には成婚の結果も出そうだ。法人との福利厚生プログラム契約の実績もあがっている。現在、カウンセラーは中村代表のみだが、いずれは臨床心理士などの資格を持つ人材を増やしていきたいという。

紹介して終わりでなく、フォローも大事

IBJの場合、名古屋銀行を皮切りに、仙台銀行・きらやか銀行、長野銀行、池田泉州銀行、愛媛銀行とも業務提携し、着実に地銀提携を推進。地銀によっては結婚相談所紹介のみの場合もあるが、IBJの直営相談所がない地域でも、ニーズに合った信頼できる加盟相談所を紹介している。

IBJが組織化する日本結婚相談所連盟の加盟相談所で利用できる会員向けの「お見合いシステムアプリ」(写真:IBJ)

そもそも、IBJの直営結婚相談所があるのは、首都圏や地方の大都市。連盟加盟の相談所は全国に広がっているとはいえ、「地方を独力で営業展開するには限界がある」とIBJの中本哲宏副社長は打ち明ける。地域に根差し、地元企業との関係の深い地銀との提携は、手薄だった地方開拓の大きな武器になる。

「人口流出に悩む地方こそ婚活のニーズが高く、社会的意義も大きい」(中本氏)。婚活の成果があがることで、企業の後継者問題が解決したり、新たな人間関係の輪が広がったりすることは、長い目で見て地域の活性化につながるだろう。

銀行と婚活。これまでにない柔軟な発想による組み合わせだが、「扱ったことのないサービスだけに、具体的にどのように推進していくかが課題」(海川氏)。名銀では、IBJの担当者を呼んで支店ごとに勉強会を開催し、サービス内容やターゲットの絞り方などの説明を受けている。IBJに紹介して終わり、ということではなく、何かあれば取引先とIBJの間に法人営業部が入り、フォローする体制も取っている。

実際のところ、銀行からすれば、婚活支援そのもので大きな収益をすぐ期待できるわけではない。が、婚活支援をサービスに加えることによって、取引先とより密接な関係を構築できる可能性が広がる。「銀行の世話で結婚した」となれば、その銀行にもより愛着が湧くだろう。個人顧客の開拓にとっても、インパクトのある話題作りに利用することができる。

「銀行は変わった!」と内外にアピールするうえで、婚活支援は利用価値の高いサービスなのだ。

三上 直行 東洋経済 記者

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みかみ なおゆき / Naoyuki Mikami

1989年東洋経済新報社入社。これまで電機などを担当。現在は、冠婚葬祭業界を担当。

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