要確認!「入ったらダメな保険」と「損する保険」 セールストークを鵜呑みにしてはいけない

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台風の強い風で家の屋根の瓦が飛ばされてしまったり、大雨や河川の氾濫などで浸水したというようなときには、まず、自分が加入している「火災保険」に、こうした災害に対応する補償がついていないか確認してみましょう。

ところが、「火災保険」にも注意が必要です。実は、台風などで大きな被害が出ると、被災者を狙った詐欺も増えます。

「火災保険」を狙った詐欺の手口

国民生活センターによれば、「修繕詐欺」がらみの相談が、2008年からおよそ10年間で30倍以上にも増えているそうです。その手口は、まず災害などで被害を受けたお宅に、修繕業者が電話したり訪問をして、「火災保険に入っていれば、自己負担なしで修理できますよ」と話を持ちかけます。

しかも「面倒な保険金請求の手続きなどは、すべて私どもで代行します」「この際、古くなった屋根も保険で直せます」などと勧誘して、工事の請け負い額を上げます。そのうえで、見積り書や図面を持ってきて、修繕の請け負い契約を無理やり結びます。さらに、保険会社に保険を請求すると言って、「請求手続き代行契約」や「申請サポート契約」を結ばせます。

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たしかに、水害などの被害は「火災保険」の補償対象ですが、屋根の老朽化などは保険金では直せません。結果、自己負担額がどんどん大きくなります。これでは話が違うということで契約破棄を申し出ると、今度は「契約までして、うちで工事しないなら違約金を払ってください」と脅し、法外なキャンセル料を請求してきます。

逆に、もし保険会社で「災害で破損」と認められ、保険金が支払われた場合には、「請求手続き代行契約」や「申請サポート契約」を理由に、高い契約手数料を払えと迫ります。もちろん損害保険会社は、災害の補償はしても、サポート契約の手数料までは払ってくれません。

そもそも、こうした業者を頼らなくても、損保の代理店に直接言えば、手数料など取られずに調査し、補償の対象と認定されると保険金は支払われます。台風の被害に遭って、さらに詐欺の被害に遭うなんてことにならないように、気をつけましょう!

荻原 博子 経済ジャーナリスト

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おぎわら ひろこ / Hiroko Ogiwara

 1954年、長野県生まれ。大学卒業後、経済事務所勤務を経て独立。経済の仕組みを生活に根ざして解説する、家計経済のパイオニアとして活躍。著書に『払ってはいけない』(新潮新書)、『老前破産』(朝日新書)、『年金だけでも暮らせます』(PHP新書)など多数。

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