低迷する漫画業界の大問題、制作現場のワーキングプア

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 講談社の『モーニング・ツー』に『羣青(ぐんじょう)』を連載した中村珍さん。中村さんは自身のブログで、その収支と経済状況を公開した。

いまだに生活苦が美談? 低収入に置かれる漫画家

漫画家は、一般的には原稿料だけでは赤字だ。連載をまとめた単行本を発売して、その印税で赤字分を取り返すのがここでも一般的。中村さんの場合、単行本を厚くするか薄くするかで編集部と意見の相違があり、『羣青』の単行本化がなかなか進まず苦しい日々が続いた。が、今年10月にようやく、その他の過去の作品を集めた短編集が出てホッと一息ついたところだ。

『羣青』ではトータル590ページを描いた。原稿料は当初1ページ9500円。地方在住であることなどが考慮され、途中で1万2350円に上げてもらったが、それでも経費は賄いきれなかった。まず、アシスタントを多数使用しているのでその人件費負担が大きい。さらに地方在住のため、遠方からアシスタントを集める費用もかかる。そのうえ「毎回何らかのトラブルがあり、そのたびにアシスタントの人件費がハネ上がる」(中村氏)。赤字はみるみる膨らみ、出版社から前借りした原稿料は200万円にもなった。

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