アメリカの株価が下落を始めるのはいつなのか 次に新たな市場の波乱要因になるのは何か

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FRBもそうしたリスクは十分に認識しており、そう遠くない将来に政策方針を修正する動きが出てくることになるだろう。実際、NY連銀は14日、米国債などを担保に資金を供給するタームレポに関して、2月4日からこれまでの月額350億ドルから300億ドルに減額する方針を発表した。

FRBが「方針変更」を打ち出した時が株価の当面のピーク

月額600億ドルの短期債購入については、4~6月期まで継続するとの方針に変わりはない。だが、もともとこの政策は、短期金利市場の流動性が一時的に低下する恐れが浮上したことを受け、年末年始かけての資金枯渇を事前に防止するという目的で始めたものであり、いつまでもダラダラと続ける性格のものではない。

こちらに関しても、FRBは市場への影響を最低限なものにとどめる形で購入を停止する方法やタイミングを検討しているだろう。ここまでの株価上昇が、FRBによる流動性の過剰な供給によってもたらされているのであれば、FRBが短期債購入についての方針変更を打ち出した時が、株価の当面のピークとなっている可能性は高いのではないか。

米中貿易交渉の第1段階の合意成立の最大の功績は、今後も米中が関税の引き上げ合戦を続け、貿易戦争がエスカレートする恐れがなくなったことにある。だが、一方でこれまでの関税引き上げによって悪化した状況が、大幅に改善したわけでは決してない。秋の大統領選後まで維持される既存の関税の影響によって、経済指標の悪化傾向が今後も続くなら、景気減速に対する懸念も改めて強まってくることになるだろう。

トランプ大統領がすぐにでも開始したいとしている第二段階の交渉に関しても、国内産業への補助金など、中国に対する内政干渉にもつながりかねない項目を含んでいるだけに、これまでよりも厳しいものになるのは必至の状況である。今後は関係者からも、以前ほど楽観的な発言は聞かれなくなるだろう。

第1段階の合意についても、これですべてがオーケーとなった訳ではない。アメリカ産農産物の買い付けについては、実際の需要を大幅に超える量で合意されており、中国が過剰分を実際に購入することができるのかは微妙なところだ。もちろん中国も貿易戦争の再燃はなんとしても避けたいと考えているだろうし、できる限りのことはするだろうが、過剰分を備蓄に回すのにも限度があるし、まさか購入してそのまま廃棄する訳にもいかないだろう。この先米国が満足するだけの購入を行うことができず、それを不満としたトランプ大統領が再び追加関税に言及するようになる可能性は、かなり高いと見ておいた方が良いのではないか。

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