アメリカの株価が下落を始めるのはいつなのか 次に新たな市場の波乱要因になるのは何か

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一方で株式市場は合意発表後も上昇の勢いは衰えず、ダウ工業平均株価をはじめとした主要株価指数は、史上最高値の更新を続けている。

米中合意の成立でいったん買い材料が出尽くしになるとの見方は、強気筋からも多く聞かれていたし、合意内容がやや期待外れに終わったことを考えれば、ある程度の価格調整が見られても不思議ではないところだったが、少なくとも現時点(1月22日)では、売り圧力が強まるような兆候は微塵も見られていない。では株式市場は、なぜここまで地合いが強まっているのだろうか。

合意内容に強気のサプライズが含まれていた訳でもなかったにも関わらず、発表後の市場が 「噂で買って事実で売る」 という、教科書通りの反応とならなかったのは、ただ単に「米中貿易交渉進展に対する期待が、ここまでの上昇局面での大きな下支え要因ではなかった」と考えるのが妥当なところだ。

米株の最高値更新はFRBによる過剰な資金供給が主因

足元で株価が史上最高値の更新を続けているのは、以下の理由にほかならない。すなわち、米連邦準備制度理事会(FRB)が昨年7月以降の米連邦公開市場委員会(FOMC)で3会合連続して利下げを決定し、10月からは追い打ちを掛けるように月に600億ドルという、以前のQE2やQE3よりも速いペースで短期債を購入、バランスシートを急速に拡大したことによって市場に過剰な流動性が供給されたことによる。

米中交渉に関して、トランプ大統領をはじめとした関係閣僚から楽観的な発言が飛び出すたびに、株価が騰勢を強めたのは確かである。だが、それは単に買いのきっかけを与えただけであって、株価上昇の根本的な要因ではなかったということなのだろう。FRBの資金供給を背景とした投機的な買いの勢いは、米中合意成立でも出尽くしとはならなかったというだけの話である。

もちろん、こうした状況はいつまでも続くわけではない。潤沢な資金の供給がいずれ行き過ぎたバブルを作り出し、資産価格の上昇を背景にインフレが制御不可能なものとなるというリスクは常に存在している。

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