日本の「eスポーツ」が世界に遅れる根本理由 プロライセンス制度は本当に必要なのか
ところが、JeSUにライセンス制度を推奨したとされる消費者庁の担当部署に問い合わせると、異なる見解が返ってくる。いわく、「JeSUからライセンス制度の提案を受けた際、会話のやりとりの中で『それならわかりやすいかもしれませんね』と返答したことはあるかもしれないが、積極的に作るべし、と言ったことはない」(消費者庁の担当者)というのだ。
消費者庁によれば、参加者を絞った大会であれば、賞金を選手の「仕事の報酬」とみなすことで景表法を回避することが可能だという。大会の開催にあたって消費者庁や、業界団体に確認すれば、ライセンスがなくても、合法的に高額賞金を授与する大会を開催することは問題ないと説明する。
実は、賞金を「仕事の報酬」として合法的に受け取るという解釈は、ライセンス制度が設立されてから有識者などから度々指摘されてきたものだ。エンターテインメントビジネスに詳しい国際カジノ研究所の木曽崇氏は、「JeSU自身、表向きはプロライセンスの所持を賞金受け取りの条件としながら、実際の運用上はこの解釈を適用させてきた可能性は高い」と指摘する。
JeSUに対する批判の声が相次ぐ
JeSU自身も東京ゲームショウの会期中の2019年9月12日、法令の適用について照会をするノーアクションレター制度によって、消費者庁から「仕事の報酬等と認められる金品の提供は景品の提供に当たらない」旨を確認したと発表、岡村会長は、「eスポーツ界にとって大きな前進だ」と力強く語った。
だが、その発表の余韻覚めやらぬ9月15日に開催されたカプコンの格闘ゲーム「ストリートファイターV」の国際大会では、プロライセンス制度に疑問を呈し、受け取りを拒否してきたももち選手が優勝。これまで通りに優勝賞金500万円は、副賞のゲーミングモニター3万9800円相当と現金6万0200円に減額された。SNSなどでは、「発表と話が違う」としてJeSUを批判する声が相次いだ。
東洋経済も賞金減額の理由をJeSUに問い合わせたが、「近々に声明を発表する」としたまま、明確な回答は先延ばしにされていた。
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