部門対立がバカらしくて仕方ない人への処方箋 人間社会ではワンチームという理想は難しい

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映画監督のスティーブン・スピルバーグがプロデューサーとして人間の対立の問題を正面から取り上げた『HATE』というテレビドキュメンタリー番組があります。アメリカの人種間対立、キリスト教世界とイスラム世界などわたしたちの世界は対立と抗争に明け暮れている。その理由を知りたいと考えた骨太な構想の番組でした。番組によれば組織間の対立は、表面的には思想や信条が2つの陣営を分断するといいます。

知人の会社の例でいえば、営業部門は顧客である卸や小売店を大切に考えています。しかし製品部門はそうではなく商品価値を大切に考えエンドユーザーである消費者を大切にします。2つの組織の視点が違うと、さまざまな事柄で対立が発生するようになります。

例えば営業が値引きをすることを製品部門は極端に嫌います。小売店で信じられないような低価格で自社製品が売られているのを見て製品部門の社員は「涙が出るほど悔しい思いをする」と語ったそうです。しかし営業部門から見て流通支配の現状を考えれば販売店のルールに沿った営業努力を行う以外に製品を小売店に並べていく方法はありえない。その実情を理解しない製品部門に腹を立てます。

お互いをまったく受け入れられないほど

こういった思想的対立が続くことで、その会社では営業は「うちの製品力では値下げをしなければ売れない」と信じ、製品部門は「値下げをするからまともな値段では売れなくなる」と信じるといった具合で、お互いをまったく受け入れないほど考え方にずれが生じていたそうです。

2つの組織がある種の思想に染まることで、お互いが譲れないほどの対立に陥る。だからこの会社の問題は、アメリカの人種問題や、アメリカと中東の対立の問題と同じくらい簡単には解決できないと彼は嘆きました。

ところが先ほど「表面的には」と書いたとおり、この問題にはもう一段深い問題が存在します。スピルバーグ製作の『HATE』という番組ではこの憎しみの起源を人類の起源以前にまでさかのぼった研究を紹介します。

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