中小企業は本当に復活したのか?

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中小企業は本当に復活したのか?

民主党参議院議員・藤末健三

皆さんにまず質問です。

「わが国の中小企業は復活したのでしょうか?」

 答えは、きっぱり「NO」です。どんどん中小企業数は減っていますし、付加価値率(付加価値とは、企業のヒト・モノ・カネを使って新たに生み出した価値のこと。付加価値を売上高で割ったものが付加価値率)の点でも、どんどん大企業との格差が開いています。特に製造業においてその傾向が顕著です。

大企業の人件費は中小企業の2.2倍

 財務省統計を見ると、大企業と中小企業の格差がはっきりします。

1)製造業一人当たりの人件費
大企業(資本金10億円以上)と中小企業(同1億円~10億円)との差は、2004年で約2.2倍。大企業の人件費は中小企業の倍以上なのです。ちなみにこの差は、1996年頭には約1.5倍でした。

2)製造業一人当たりの経常利益(2004年)
大企業は、135万円。中小企業は19万円と7倍の格差。

3)一人当たり設備投資(2004年)
大企業は、99万円。中小企業は19万円と5倍の格差。大企業は、2001年から2004年にかけて設備投資が1.5倍になりましたが、中小企業はほとんど増えていません。中小企業は十分な設備投資が行えず、ますます大企業との生産性の格差は広がっています。

 ちなみに中小企業は、わが国の雇用の約8割を支えています。格差社会と言われますが、その一因に「大企業と中小企業の格差拡大」もあると考えられます。

中小企業向け融資は右肩下がり

 私が考える最大の問題点は、「円滑な資金の供給ができていない」ことだと思います。下の図を見てください。


 金融機関の企業向け貸出残高は、中小企業を中心に減少しました。1997年には260兆円だった中小企業向け貸出が、2003年には180兆円にまで減っています。この事実からも、銀行の融資は段々と機能しなくなりつつあるのではないかと思えます。実際に、地方の銀行などは、地元の中小企業が「新しい製品を開発・製造するためにお金を借りたい」と申し出ると、それを断ることが多いようです(私が聞いた範囲しか分かりません。正確な情報を知るためには、1度中小企業にアンケートを取る必要があります)。その理由は明確です。銀行からすると、設備投資をしてリスクがあることをやるよりも、現在ある設備で細々と利益を出してもらう方がパフォーマンスがいいためです。

 こうした傾向は、これからどんどん進んでいくと思われます。銀行のお金は、ファンドなどを通じ、融資でも投資でもなく、どんどん投機的な世界(ある意味ギャンブル)に行っているように感じます。地方銀行などは、REIT(不動産投資信託証券)などにどんどん資金を回していますが、本当に大丈夫なのでしょうか?

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