東大ジェンダー学者の戦略的イクメン化計画 育児で男にできないことなんて、何ひとつない

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お風呂でイクメン?

なんでもイクメンをキーワードに、シャンプーの会社がバックについて、東京の大きな健康ランドで、パパとお風呂に入ろうというイベントをやるということでした。説明を聞いているうちにだんだんあきれるというか、腹が立ってきて、「すみません、私より適任の方がいらっしゃると思うので、ご遠慮させてください」とお断りしてしまいました。

風呂一緒に入るくらいで、イクメンとか言わんとってくれと思ったのです。もちろん悪いことではないですよ、お風呂に一緒に入るのは。そんな時間になかなか家に帰れないお父さんが多いからこそ、そういうキャンペーンが行われるのでしょうし、それには意味があると思います。

でも、たかだかお風呂に一緒に入るだけで、育児を分担していると勘違いするのだとしたら、やっぱりおかしいとしか思えませんでした。私がもし出たら、間違いなく「そんなんイクメンのうちに入りませんって」と言い放ってしまったでしょう。

私は10年間、2人の子どもの保育園の送迎をやっていました。まぁ、保育所が職場の中にあったので、当然といえば当然ですが、送り迎えを誰がするかなんぞ、議論の余地もなく、送迎合わせて9割以上、私でした。

保育園の連絡ノートも、私が書いているほうが断然多いはずです。熱を出したときに駆け付けるのも、当然、私です。予防接種に定期検診、99%お母さんしかいない空間でしたが、これも基本的に私の担当です。

覚悟してイクメンになる

「ろくに研究もしてへん大学の教員やからできんねやろ」とよく言われます。そうかもしれません。でも私は自分なりの覚悟を持って、仕事をセーブしながら子育て優先の態勢を作り、働いてきたつもりです。

そもそも学部を出て就職をすれば、安定した高収入の職に就けるところを、文系で大学院に行くというのはばくちです。それでも私は「働く女性をサポートし、自分が子育てと両立させながら働く」という自分の節を曲げない暮らしがしたいと思い、院に進みました。ですから、もともと子育てを優先できるような職を、必死で目指したのです。

30歳を過ぎて結婚を考え始めていた頃、当時の相手に「頼むから勝手に産まんとってな」と冗談めかして伝えていました。産まれたら最後、面倒は自分が中心になってみる。保育所は学内のところを使って、送迎は基本的に自分がやる。結婚する前から保育所を決めている男性というのは、けっこう珍しいかもしれません。

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