USJ「マリオ」新エリアは、外国人の心をつかむか スマホでスコア競争など、新たな試みに挑戦
さらに、既存設備を活用し『名探偵コナン』や『ルパン三世』『進撃の巨人』など、日本の人気アニメなどをテーマにした期間限定アトラクションを展開するイベントを継続。また、2014年夏に『ハリー・ポッター』、2017年春にはアニメ映画『怪盗グルー』内の人気キャラクター・ミニオンをテーマにした大型エリアも矢継ぎ早に増設してきた。こうした取り組みも功を奏し、関西圏を中心とした国内リピーター増加がユニバーサル・スタジオ・ジャパンの成長を支えてきた。
その中で奇想天外なアイデアを混ぜ込んだ新エリアが担う使命はインバウンド集客の強化だ。日本全体でインバウンドが3000万人超へ成長する中、特に関西はアジア諸国からの距離が近く、文化財や食文化といった観光資源が豊富で、LCCを中心に関西国際空港への新規就航が後を絶たない。
2018年度にランド・シーを合わせた東京ディズニーリゾートの来園者のインバウンド比率が9.6%だったのに対し、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンは近年のクールジャパン戦略や『ハリー・ポッター』エリア開業などで、2017年時点で約13%に達しているとみられる。
2020年以降も大型アトラクションを導入
インバウンド集客に向けて、プロモーションへの意気込みも強い。今回の発表会が行われた1月14日にあわせ、ほかのエリアやアトラクションの開業に向けては前例のなかった記念ミュージックビデオを制作、公開したのだ。作品はスウェーデン出身のプロデューサーでダンスミュージックの世界的ヒットメーカー・ギャランティスと、こちらも世界的ヒット曲を世に送り出すイギリスのアーティストで任天堂の大ファン・チャーリー XCXがコラボしており海外色が強い。
さらに、海外で最初のプロモーションイベントはアメリカ・ニューヨークで開催する。今後、アメリカやシンガポールに同様のコンセプトを持つエリアが誕生することを踏まえたグループ全体のプロモーションも担ってるため、山本マーケティング部長はユニバーサル・スタジオ・ジャパンに限ったインバウンドは「地域を問わず全般的に増えるのでは」とするが、これまで以上にアジア以遠からの集客を強化する色が濃いのは間違いない。
J.L.ボニエCEOは2019年の東洋経済のインタビューに「2020年以降も映画に限らず、幅広いジャンルで2~3年ごとに大型アトラクションを導入する。また、中小規模のアトラクションや新しいイベントも積極的に投入する。現在の敷地に大型施設を造る余地はまだある」と語っている。
とはいえ、攻勢の第一歩となる任天堂エリアが成果を残せなければ、今後の拡張計画に水を差しかねない。テーマエンターテインメント協会調べでは、2018年時点でアジア・太平洋の年間遊園地・テーマパーク入場者数トップである東京ディズニーランド(1791万人)に、3位のユニバーサル・スタジオ・ジャパンは360万人差まで迫っている。アジア・太平洋ナンバーワンに向けて、任天堂エリアにはプロゲーマー顔負けの「ハイスコア」が求められる。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら