乗務するのは誰だ? JRが挑む「自動運転」の成否 ボタン押せば動き出すが、万一の際は…

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都心の路線と違い、JR九州は多くの路線ですでにワンマン運転を採用している。だとすると、JR九州にとってワンマン化は主目的ではない。目指すのは運転士によるワンマン運転から一歩進んで、運転士ではない係員が乗務するドライバーレスの自動運転だ。

JR東日本が山手線で実施した自動運転試験の様子(撮影:尾形文繁)

JR九州は近い将来、運転士が不足する時代が訪れると考えており、ドライバーレス運転が必要だという。

しかし、電車の運転士は子どもたちの憧れの仕事であり、世間では人気職種と考えられている。はたして運転士が不足する時代がやってくるのだろうか。

運転士不足はすでに現実化

実は、地方鉄道では運転士不足が現実のものになろうとしている。ある地方の第三セクター鉄道会社では、運転士候補と期待されて入社した社員が運転士になる前に会社を辞めてしまった。業務時間が不規則で、友人と遊ぶ時間が合わないからだという。新人たちはそれを承知で入社したのではないかという気もするが、「最近の若い子は頭ではわかっていても、いざ現実に直面するとやる気がなえてしまうようです」と、この鉄道会社の古株社員が嘆く。

九州の就職人気ランキング6位(出所:「キャリタス就活2020」)というJR九州にあっても、職種としての運転士はもはや人気がない。

「少なくとも、多くの社員が”なりたい”と手を挙げて、その中から選抜するといった状況ではありません」(JR九州)。これはと思った人材に「運転士になりませんか」と話を持ちかけて、手塩にかけて育成するのだという。どうやら運転士が本格的に不足する時代の到来は避けられない。ドライバーレス運転が実現すれば、人繰りは楽になる。

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