日本で外国人留学生がこんなにも目につく理由 30万人計画は達成したが本懐は果たせているか

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同じ日の夜にまた「ウーバーイーツ」で、今度はタピオカティーを頼んでみました。

「ウーバーイーツ」の登録店舗はどんどん増えていて、2016年のサービス開始当初は東京の港区と渋谷区だけで150店舗程度だったものが、いまでは1万店舗を超えているのだとか。それこそハンバーガーチェーンから、個人店までいろんなお店のメニューを出前で楽しめるのが魅力です。

タピオカティーを届けてくれたのは日本人の専門学校生でした。

「(ウーバーイーツは)外国人留学生のアルバイトが多いですよね。事前にクレジット決済されていることも多くて、ほとんど、受け取った商品を届けるだけですから複雑な日本語も必要ない。それに、いまはレンタル自転車もあるし、簡単に始められるから人気なんだと思います。客が配達員を評価するシステムだから、日本人でも外国人でもヘンな人はいないと思いますけど」

拙著『となりの外国人』でも詳しく解説していますが、外国人留学生の数は、この30年間で約10倍に増えていて、2018年末の時点で約33万7000人もいます。そして、そのうちのほとんどが「資格外活動」としてアルバイトをしています。自分の裁量でアルバイトできる「ウーバーイーツ」に外国人留学生が多いのも納得です。

しかし、なぜ、これほど留学生の数が増えたのでしょう。

なぜ、労働者ではないはずの留学生が労働力としてカウントされ、結果的に日本経済に組み込まれているのでしょうか。その理由と背景を紐解いていくと、今後の「となりの外国人との付き合い方」も少し見えてくるように思います。

〝経済大国〟の責任と留学生の増加

外国人留学生とアルバイトの歴史を振り返ってみます。
〝資格外活動〟として彼らにアルバイトが解禁されたのは1983年7月のこと。第一次中曽根内閣で入管法が改正され、それまで原則的には禁止されていたアルバイトが週20時間程度できるようになりました。

ちなみに『ジャパン・アズ・ナンバーワン』という経済書が日米でベストセラーになったのが1979年。日本の自動車生産台数がアメリカを抜いて世界第1位になったのが翌年のことです。それから3年、4年、日本の経済がまだ右肩上がりに成長している時代でもありました。

当時の世論はどのような反応だったのか、閣議決定された当日(1983年6月21日)の新聞を調べてみると、予想とは裏腹に好意的な記事が並んでいて少し驚きました。

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