中国軍は日本の脅威となるか?
つい先頃、2005年度の中国の国防費が2447億元(約3兆1800億円)となったことが発表されました。これによって、中国の国防費は18年連続で対前年度比10%以上の伸びを示したことになります。
ちなみに、スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の2006年版年次報告書に基づいて、軍事費の国際比較をしてみると、2005年度の世界の軍事費の合計は、1兆1180億ドル(約127兆4500億円、世界の国内総生産(GDP)合計の2.5%)。そして、中国の軍事費は、世界5位となっています(右図参照)。金額的には、アメリカの1割程度となります。
高まる中国脅威論
しかしながら、「中国が公表している国防費は実際よりも少ないのではないか」との意見が多く聞かれます。たとえば、中国の軍事力に関する米国防省年次報告書(2005年度版)は以下のように指摘しています。
(1)中国政府が公表している国防予算は、実際の国防支出をかなり下回っている。米国防省は、実際の国防費は、公表国防費の2~3倍と推定している(米国ランド研究所は、公表国防費の1.4~1.7倍と推定)。
(2)いくつかの分析評価によれば、公表国防予算に含まれていない項目として、次のようなものが挙げられる。
−海外からの兵器調達にかかる支出(ロシアからの輸入だけでも最大3億ドル)
−人民武装警察にかかる支出
−核兵器と第2砲兵にかかる支出
−国防産業に対する補助金支出
−国防関連の研究開発費
−地方政府から軍への支出
(下図参照)
(3)これらの項目を含めた実質的な国防支出は、公表値の2倍から3倍に達する可能性
(4)05年度でいえば、国防部門に配分される金額は、最大で900億ドルに達しうる。これは、米国、ロシアについで世界3番目の国防支出額であり、アジアでは最大となっている。
(5)中国の国防支出に関する2025年の将来見積もりをも見ると、米国防省は「現在の国防支出の3~4倍」、米国ランド研究所は、「現在の国防支出の5~6倍」となっています。