「ふるさと納税」法改正でも止まらない税金流出 独自試算!実質住民税「流出額」ランキング

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ただし長期的に見た場合、こうした対策だけでなく、住民税をどのように使っているのかを住民に理解してもらう必要がある。そもそもふるさと納税は、「税金の使い道を選べる制度」ともいえる。本来なら居住する自治体に納めるべき住民税の一部を、好きな自治体、好きな使い道に振り向けることができるからだ。

その際、住民税への認識が「よくわからないけど取られ、よくわからない使い方をされる」ものだと、お得感のある返礼品をもらう意識へと向いてしまうのも無理はない。都市部の自治体も地方の自治体も、住民税やふるさと納税の使い道を明確にアピールし、競い合うことが求められよう。単に、「流出しています」と一方的に呼びかけるだけでは、本質的な解決策とはならない。

対照的な都市部の自治体と地方の自治体

「100万円、200万円の予算をつけるのも、本当に大変。努力をするほど多くの財源を獲得できる、ふるさと納税はよい制度だ」

地方の自治体職員の多くはこう漏らす。都市部の自治体で頭を悩ませている流出が一方で、地方の自治体にとって干天の慈雨になっているのも事実である。

それぞれの自治体が知恵を出し、魅力的な使い道によって競い合うこと、そして寄付者も使い道や影響をよく吟味し行動することが重要だ。自治体同士のフェアな競争こそがいま求められている。

佐々木 亮祐 東洋経済 記者

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ささき りょうすけ / Ryosuke Sasaki

1995年埼玉県生まれ。埼玉県立大宮高校、慶応義塾大学経済学部卒業。卒業論文ではふるさと納税を研究。2018年に入社、外食業界の担当や『会社四季報』編集部、『業界地図』編集部を経て、現在は半導体や電機担当。庶民派の記者を志す。趣味は野球とスピッツ鑑賞。社内の野球部ではキャッチャーを守る。Twitter:@TK_rsasaki

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