自前路線とついに決別、孤高ユニーの窮余一策
東海の雄、小売り大手のユニーがついに扉を開けた。業務提携先の伊藤忠商事から2010年3月末までに3%の出資を受け入れることを決めた。同社は実質的な筆頭株主となる。
実はユニーと伊藤忠の関係はかなりデリケートだ。両社は2006年から、衣料品や食品の共同開発などで業務提携。その間、年4回会長や社長らが出席する経営協議会を開き、将来のプロジェクトなどについて議論してきた。
ユニーの念願である中国本土進出にも弾みがつく。伊藤忠は中国ではGMS(総合スーパー)の成功事例とされるイトーヨーカ堂と手を組んでおりノウハウがある。伊藤忠とユニーは提携後、現地視察に何度も訪れ、GMS構想を煮詰めてきた。11年までにヨーカ堂とは競合しない上海に出店する予定だ。
一見、極めて友好的な関係だが、今回の提携に関しては、ユニーの心情は複雑だ。
同業者の拡張路線に目もくれず、地元市場の深掘りを進める堅実さと、その裏に潜む高いプライドがユニーの特徴だ。伊藤忠とも実質的に提携関係を深めながら、表向きは「協力関係」と緩い言葉を選んできた。「提携」の言葉に軍門に下ったかのような響きを感じていたからだろう。
孤高の「自前路線」が成立する背景には地域特性もあった。八丁みそなど関東とも関西とも異なる東海の独特の食習慣は、地域外のチェーンには厄介な問題だ。そこに築いた牙城は強固で、他社との資本提携など論外だった。
伊藤忠にとって小売業態は「21世紀の(成長の)ベース」(小林栄三社長)。資本提携の意欲は強かったが、実現する可能性は低いとみられてきた。
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