「これから挽回しまっせ」--。業績上方修正の日本電産・永守社長が“舌”好調。さらなる上ぶれも示唆

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「これから挽回しまっせ」--。業績上方修正の日本電産・永守社長が“舌”好調。さらなる上ぶれも示唆

日本電産の業績回復が鮮明になってきた。

同社は今2010年3月期の業績見通しを、売上高5700億円(前期比6.7%減)、営業利益580億円(同11.5%増)に上方修正した。前回予想は売上高が5500億円、営業利益が前期比3.9%減の500億円だったが、一転して増益になるとした。
「東洋経済オンライン」は、再度上方修正の可能性があると見て、会社修正値を独自に増額する。

4~9月期(上期)決算説明会の席上、永守重信社長は「業績がこんなに早く戻るとは思わなかった。これから挽回しまっせ」と“舌”好調。今回の上方修正は、上期の上ぶれ分を増額しただけで、下期の業績見通しについては前回のものを踏襲している。だが、永守社長は「ハッキリ言って、これはありえませんわ」と、さらに増額の可能性があることを示唆した。

上期の業績が上ぶれたのは、収益柱の精密小型モーターが好転したためだ。昨秋以降、客先の業績不振が直撃し、HDD用モーターの受注が低迷していた。しかし、低価格パソコンが中国などで普及していることを追い風に、ここにきて受注が急回復している。HDD用モーターの出荷台数は7~9月に過去最高を更新。加えて、購買見直しなどの収益構造改革が順調に浸透したこともあり、これが想定以上に利益寄与した。

精密小型モーターについては10月以降も「強く推移していくと見ている」(永守社長)。ネットブック向けだけでなく、ハイスペックパソコン向けHDD用モーターなど好採算製品が増える公算だ。

一方で、中型モーターは、通期ベースで赤字となりそうだ。自動車減産の影響で車載用モーターが減少するうえ、開発費が先行することも重しとなる。永守社長は「車載用モーターは、パワステ関係などで次々と受注が決まっている。欧州の部品メーカーから、5年間で1000億円の受注が決まった」と足元には曙光が差していることを強調したが、これらの受注が業績に貢献するのは来11年3月期以降になる。ただ、HDD用モーターなどに勢いがあることから、これら主力製品の伸びが中型モーターの落ち込みを十分にカバーするだろう。

業績が上向いていることを背景に、1年間凍結していたM&Aも再開する。12月末をメドに、伊モーター大手・ソウルモーターズ(08年12月期売上高約250億円)を買収する。これまで参入に壁があった欧州の家電メーカーに食い込む狙いだ。

さらに、永守社長は次のように語る。「昨年から中断していたM&Aの交渉を再開する。30件ほど積み上がっていた案件が全部残っている。これらの案件は買収コストが下がっている。次は車載、家電、産業機器分野などの交渉を優先することになるでしょう」「(前回交渉時よりも)2~3割のダウンから買収価格の交渉が始まる。今のところ価格が折り合わないが、いずれまとまるでしょう。焦る必要はない。ただ、日本電産は1年も待てまへんで」

今回公表した会社側の今期業績見通しには、ソウルモーター買収による押し上げ効果が加算されておらず、下期見通しも前回から変更していない。そのため「東洋経済オンライン」は会社見通しは、なお「慎重」と判断。表記の通り、独自増額した数値を今期予想とする。また、複数の交渉を再開しているM&A案件が早期にまとまれば、さらに業績が上ぶれることも付記しておく。

(梅咲 恵司)

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