トランプが弾劾裁判で「有罪」招きかねない要素 共和党が過半数握る上院は安泰のはずだが
アメリカ憲法には、裁判をどのように開くべきかの詳細は記載されていない。ただ上院議員が陪審員として座り、下院が議員を検察官として任命し、最高裁判所長官が裁判全体を統括するよう記載されているだけだ。
憲法にはまた、どのように裁判を行うべきか、例えば証人を喚問すべきか、さらなる証拠の提出を行うべきか、どのぐらいの期間裁判をすべきか、なども記載されていない。クリントン事件では、民主、共和党とも新しい証拠を一切提出せず、重要な証人の証言のテープ録音のみを使用する手順をとることで合意した。
民主党は時間稼ぎを狙う可能性
通常ならマコーネル上院議員と、民主党のチャールズ・シューマー上院少数党院内総務は、こうした問題については話し合いを行うだろう。シューマー上院議員は、ホワイトハウス参謀長代理ミック・マルヴァニー氏や元国家安全保障担当大統領補佐官のジョン・ボルトン氏など、下院の召還を拒否した重要な証人を呼ぶことを求めているが、マコーネル上院議員はこうした動きを阻止することを明らかにしており、下院の証人喚問で証言した人すら呼ぶことはないとしている。
ペロシ下院議長は、上院弾劾裁判の公正性を確認するまで検察官役を務める下院議員の指名を控えるとし、事実上裁判を遅らせる可能性を提起した。一部の政治コメンテーターは、時間稼ぎをすることで、アメリカ連邦最高裁判所がホワイトハウスに文書や証人の提出を命じることができるようにし、それをさらなる弾劾につなげる可能性があるとしている。
ペロシ下院議長は、少なくともマコーネル上院議員に証人の聴聞を許可させるようにはしたいと望んでいる。これなら一部の共和党上院議員も支持するかもしれない立場だからだ。
1つ予測不可能な要素があり、それにより、裁判の結果が揺るがされる可能性が残されている。それは、大統領が自分自身をコントロールできないことだ。特に個人的な攻撃を受けている場合にその傾向が強くなる。
「トランプ大統領が弾劾されたという事実は大統領という地位にとって汚点であり、これがトランプ氏を完全に怒り狂わせるだろう。彼は悪性のナルシストであり、批判には耐えられないからだ」とカリフォルニア州のキャンペーンの数多くでコンサルタントを務めてきたあるトラウンスタイン氏は話す。
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