日本の財政が「絶対破綻しない」これだけの理由 MMTが提唱する経済政策の正当性を理解する
もちろん、日本銀行には経営の自主性が認められているが、日本銀行法第4条に「日本銀行は、その行う通貨及び金融の調節が経済政策の一環をなすものであることを踏まえ、それが政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない」とも明記されており、政府から完全に独立な振る舞いをすることは法律的にも禁じられている。
だから、政府というものを中央銀行と一体的なものとして捉えるのなら、政府は貨幣を作り出すことができるのである。
借金で日本が破綻する?
政府は貨幣を作り出すことができる――このシンプルな1点を認めてしまえば、さまざまな経済財政政策についての「帰結」が、普段素朴に信じているものとはまったく違うものとなっていく。
その代表的な帰結が、「政府は、自国通貨建ての国債で破綻することは、事実上ありえない」というものだ。
それはつまり日本で言うなら、「日本政府が、日本円の国債で破綻してしまうということはありえない」、言い換えるなら、「日本政府が日本円の借金が返せなくなってしまうことはありえない」というもの。
なぜならそもそも、日本円を作っているのは日本政府なのだから、自分で「作ることのできる日本円」を「返せなくなる」なんてことはありえない。どれだけ借金をしていても、返済を求められたときに自分で作って返せばそれで事足りるからだ。
しかし、多くの国民は、この帰結を耳にするだけで、「何と滅茶苦茶な話だ!」と感ずるのではないかと思う。
そもそもテレビや新聞や雑誌、さらに最近では学校の教科書ですら、「日本の借金は1000兆円を超えるほど、膨大に膨らんでしまっている。このままでは、日本が破綻して、大変なことになってしまう!」という話が、連日繰り返されている。多くの国民が、そんな話を鵜呑みにして、政府の借金を返さなきゃエライことになる――と信じてしまうのも当たり前だと言えよう。
しかも、「借金で日本が破綻する」という最悪の事態を避けるための「緊縮」的な対策が、政府の「財務省」を中心に長年展開され、消費税が2014年に8%にまで増税され、2019年10月には10%にまでさらに増税された。
消費増税をめぐっては、いまだに多くの国民が反対しているわけだが、それを押し切ってまでこれまで何度も増税が繰り返されてきたのは偏(ひとえ)に、「このままなら、借金で日本が破綻する」と危惧する声が強烈にあったからだ。
それにもかかわらず――「日本政府が日本円の借金で破綻することはない」と主張しているのだから、そんなMMTに対して多くの国民は面食らってしまうことだろう。「だったら、これまで嫌々消費増税を辛抱してきた俺たちはいったい何だったんだ?」となるからだ。
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