テレビ朝日とKDDI、動画配信で手を組んだ事情 動画配信「戦国時代」をどのように生き抜くか

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KDDIと手を組んだ理由について、テレビ朝日側は「KDDIは携帯キャリアとしてユーザー基盤を保有している。さらに、5G技術も持っており、今後の動画配信拡大の際にも強みになる」(前出の担当者)と語る。

2020年に商用化が始まる5Gは、高速化や低遅延などが期待されており、それによって動画視聴が今より広まると期待されている。KDDIの広報担当者は「5Gになれば、スポーツなどリアルタイムでの提供も進展する」と話し、スポーツも含めたコンテンツ提供も見込む。共同出資は5G時代が本格化することを見据えての動きのようだ。

独自コンテンツの少なさが弱みに

KDDIにとってテレビ朝日と組むメリットは、会員数が伸び悩んでいたビデオパス事業のテコ入れだ。同じ携帯キャリアのNTTドコモが運営する「dTV」は、会員数400万人(2018年6月時点)。それに対し、ビデオパスは2018年に会員数100万人を突破した模様だが、その後は伸び悩んでいた。

2018年8月にはauの契約者以外もビデオパスを視聴できるようになっていたが、「NetflixやAmazonプライムビデオと比べて独自コンテンツが少ない」(KDDI広報担当者)ことが弱みだった。Netflixは「全裸監督」や「テラスハウス」、Amazonプライムビデオには「バチェラー」などの人気コンテンツがあるが、ビデオパスにはそうしたコンテンツが見当たらない。

さらに、Netflixは国内会員数で300万人を突破するなど動画配信サービスは戦国時代に突入しており、生き残り策を模索していた。

今回の共同出資によって、テレビ朝日のコンテンツ独占配信や地上波との連動企画など、従来よりもサービスの独自色を出すことが可能になる。KDDIにとっては、そうしたテレビ朝日のコンテンツが魅力的だったようだ。

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