三セク鉄道「株主自治体」財政危険度ランキング 県・市・町村別に総点検、その厳しい実態

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なお、ランキングは県、市、町村に分けて行った。たとえば、市と町村では、歳出の多くを占める福祉事務の実施が義務付けられているか否かといった違いがあり、財務状態を単純に比較することができないからだ。そのため、町村財政のランキングも上記の理由から財政に違いがあり、あくまで参考値という位置づけである。

県については、経常収支比率、実質公債費比率、将来負担比率、財政力指数の4指標で分析した。

経常収支比率とは財政構造の弾力性を示す指標で、一般財源に対する経常費用の割合。この値が高いほど歳出構造が硬直的であることを示す。

北海道がワースト上位に

比率の高い順に並べると、ワースト1位は愛知県。以下、2位北海道、3位三重県、4位長崎県、5位鹿児島県・岩手県、7位高知県、8位宮城県、9位福岡県、10位福島県・群馬県という順になった。

ワースト1位の愛知県は、47都道府県中でも大阪府に次ぐワースト2位。ただ、愛知県が筆頭株主の愛知環状鉄道は岡崎と高蔵寺を結ぶ路線を運営しているが、自動車関連など好調な愛知県経済を背景に利用者が堅調に伸びており黒字経営。その意味では同社の経営の先行きに心配はなさそうだ。

ワースト2位の北海道は、47都道府県中でもワースト3位。北海道新幹線の開業に伴いJR北海道から経営分離された路線を引き継ぐ道南いさりび鉄道の筆頭株主だ。

実質公債費比率は、標準財政規模に対する地方債の返済額の割合。この比率が18%以上になると、地方債の発行に総務大臣等の許可が必要となり、25%が早期健全化基準、35%が財政再生基準となっている。

比率の高い順に並べると、ワースト1位は北海道。以下、2位岩手県、3位兵庫県、4位新潟県、5位宮城県、6位京都府・三重県、8位山口県、9位愛知県、10位石川県という順になった。

ワースト1位の北海道の実質公債費比率は21.1%で、47都道府県中でもワースト1位。財政的には厳しい状態であり、鉄道への補助金を増やすのは簡単ではないだろう。

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