三セク鉄道「株主自治体」財政危険度ランキング 県・市・町村別に総点検、その厳しい実態

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続いて、市と町村のランキングだ。都市データパック2019年版では市・町村について経常収支比率、実質公債費比率、将来負担比率、財政力指数を含む20の指標を活用した財政健全度の総合的な偏差値を作成しているため、ここでは平均値を50とする偏差値でランキングした。

まず市について、偏差値が低い順にランキングすると、ワースト1位は由利本荘市。以下、2位北秋田市、3位高知市、4位勝山市、5位高岡市、6位伊賀市、7位郡上市、8位人吉市、9位上越市、10位田川市の順になった。

1位の由利本荘市は偏差値44.26で792市中742位。秋田県と並ぶ由利高原鉄道の筆頭株主である。2位の北秋田市の偏差値は44.51。秋田内陸縦貫鉄道の第2位株主だ。ワースト1、2位が秋田県内の市となったが、秋田県の財政も磐石とはいえないのが気がかりだ。

ちなみに、偏差値が最も高いのは愛知環状鉄道の第2位株主である豊田市で、偏差値60.17。772市中10位という高順位につける。豊田市の財政力指数は1.52で792市中2位であり、地方交付税交付金の支給対象外とされる1を大きく上回る。トヨタ自動車の本社所在地であることを考えれば納得がいく。

三セク鉄道は沿線自治体も厳しい

次に町村のランキングを見ていこう。三セク鉄道に10%以上出資して、かつ第2位までの株主という町村は7つしかない。偏差値が低い順に並べると、ワースト1位は位若桜町、以下、2位あさぎり町、3位八頭町、4位南阿蘇村、5位高森町、6位大多喜町、7位海陽町という順になった。

1位の若桜町は偏差値47.50で926町村中、690位。若桜鉄道の筆頭株主である。3位の八頭町は若桜鉄道の第2位株主だ。あさぎり町は人吉市に次ぐくま川鉄道の第2位株主。南阿蘇村と高森町は南阿蘇鉄道のそれぞれ1位、2位株主である。

こうしてみると、予想されていたこととはいえ、三セク鉄道会社の株主自治体の財政は決して安泰ではないことにあらためて気づかされる。三セク鉄道の経営の先行きを占う際には、自治体の財政状態も頭に入れておく必要がありそうだ。

次ページ三セク鉄道株主道府県の経常収支比率ランキング
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