義父母の世話を見続けた長男の嫁まさかの悲劇 特別寄与分をもらうために備えるべきこと

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長男が100、次男が100もらうところ、長男の嫁へ各人から20ずつ特別寄与料を払うとします。そうすると長男が80、次男が80、長男の嫁が40もらうこととなります。そして、嫁の40については2割増しの相続税がかかりますから、全体としての相続税額は大きくなってしまうのです。

そうであれば、長男の家というくくりで考えて、長男が嫁の分も足して120もらい、次男が80相続したほうが、全体としての相続税額は低く抑えられます。

財産をもらう人が増えると、税率が下がって相続税の合計額が低くなりそうな気がしますが、そういう制度ではありませんので、ご注意くださいね。

特別寄与料をもらうために備えておくべきこと

従来から(相続人限定の)寄与分制度はありましたが、実は「特別の貢献」があったとして寄与分が認められる例は大変少ないのが現実です。最高裁通達では「相続人に通常期待される程度の貢献は寄与分とはみない」ものとされており、「毎食ご飯を作って届け、日常的な世話をした」程度では、扶養義務の範囲内として、一般的に寄与料は認められないのです。

しかし、「被相続人に認知症状が顕著に顕れ、3度の食事、常時の見守り、排便への対応」をするようになってからは特別の貢献として1日当たり8000円、3年間で900万円弱を寄与料としたという判例があるなど、排泄への介助や徘徊への対応が分岐点となることが多いように見受けられます。

そのため、特別寄与料を請求する心づもりのある方は、ぜひ介護日誌をつけることをお勧めします。いつから会話がかみ合わなくなった、いつから徘徊するようになった、そしていつから排泄の世話をするようになった、などを記録しておくと大きな武器となるでしょう。

井口 麻里子 税理士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士

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いぐち まりこ / Mariko Iguchi

慶應義塾大学卒業。2009年2月に独立系の税理士事務所としては最大手の辻・本郷税理士法人に入所。その後、2年半にわたり、メガバンクのプライベート・バンキング部門へ出向。税務顧問を担当し、主に富裕層の相続対策、資産承継、事業承継の相談に応じてきた。帰任後は、相続コンサルティングを主業務とする相続部に在籍。日々、多くの顧客と接する傍ら、執筆活動やセミナーも開き、相続問題の解決に全力で取り組んでいる。趣味はトレッキング。
 

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