住宅ローン「滞納後」にたどる恐ろしい道のり 「うっかり」でも滞納がダメなこれだけの理由

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延滞損害金の額は、住宅ローンを借りる際に金融機関と交わした「金銭消費貸借契約書」に明記されていて、通常、年利10%を超える高い利率が設定されています。返済日に引き落としができなければ、遅延損害金は翌日から発生します。住宅ローンは借入額が大きいだけに、返済が遅れるほど、あっという間に数千~数万円単位のお金がプラスオンされていきます。

せっかく年利1%を切るような低利な住宅ローンを借りているのですから、1日でも早く、催促される前にこちらから連絡したほうが、遅延損害金も少なく、金融機関の心証悪化も防げます。

「延滞」が続いてから「競売」までの道のり

もしも、リストラ、減給、病気、離婚、その他の深刻な事情で住宅ローン返済が困難になりそうだと思ったら、できるだけ早く金融機関に相談することが重要です。その金融機関との調整だけで対応可能な状況であれば、返済期間や月々の返済額を変更するなど住宅ローンの条件変更などの相談に乗ってもらえる可能性があるからです。

ただし、すでに返済の資金繰りに困って消費者金融などの利用に走ってからでは、相談を断られるケースも散見されています。ばれないと思っていても、信用情報を見れば、利用の有無やクレジットカードの多重申し込みの事実を容易に把握できます。借入先の金融機関への相談は、“実際に返済に困る前”のタイミングであることが重要です。

中には、自然災害などで被災してそれどころではないという人もいますが、そうしたやむをえない事情を金融機関に説明すれば返済猶予の道も開けますので、なぜ返済できないのか状況の説明と相談は大切です。

では、実際に延滞が続いてしまったら、どうなるのでしょうか。延滞が続いてから競売までのイメージを下記にまとめました。ここにある書類の名称や、目安の時期は金融機関などによって異なるのであくまで参考としてご覧ください。

■「延滞」が続いてから「競売」までのイメージ

~2カ月前後:延滞の事実を知らせたり、支払ってほしい旨を記載した位置づけの「支払い請求書」が届く。金融機関から電話による確認・連絡が入る。来店依頼状、住宅ローン返済の催告書が届く。

3~6カ月:厳しい文面の督促状が届く。「期限の利益の喪失に関する予告書」「代位弁済の予告書」といった書類で、さらに延滞が続いた場合の予告がされる。早いところでは延滞3カ月で期限の利益を失い、売却に向けた手続きが開始される。保証会社を利用している場合には「代位弁済通知書」が届き、一括返済を迫られる。

6~10カ月:早ければ滞納から半年で競売に向けた手続きが開始される。裁判所から「差押通知書」「競売開始決定通知書」が送られてくる。裁判所の裁判官と不動産鑑定士による自宅訪問・現況調査が行われ、その調査結果である「現況調査報告書」をもとに、競売物件としての価格やスケジュールが確定する。

1年前後:「期間入札決定通知書」が届き、1週間~1カ月の入札期間を経て、居住用物件の場合、競売開始から明け渡しまでは、4~6カ月程度が一般的。

(注)書類の名称や、上記の目安の時期は、金融機関により異なる
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