住宅ローン「滞納後」にたどる恐ろしい道のり 「うっかり」でも滞納がダメなこれだけの理由

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3つの機関は通常それぞれで情報を管理・収集していますが、異動情報(3カ月以上の延滞、1~2カ月の遅延が複数回あった場合など)や事故情報(自己破産など)について、交流する仕組みがあるからです。

多重債務者の発生や過剰貸付を防ぐことを目的に、CRIN(クリン:JICC、CIC、JBAの相互交流ネットワーク)とFINE(ファイン:貸金業法に基づくJICCとCICの相互情報交流ネットワーク)で情報交流しています。あくまで各機関の個別基準によって交流すべきと判断された情報を交流しているので、金融事故情報のすべてが共有されているわけではありませんが、方々で影響が出る状態になることは間違いありません。

ブラックリストなる一覧表は存在しないのですが、「ブラックリストに載る」と表現される状態は、異動情報や事故情報が登録されたり、このように機関をまたいで情報共有されたりする状況という認識でよさそうです。

金融機関に早く連絡したほうがよい理由

住宅ローン返済が1回うまく引き落とされなかったという場合、延滞した事実は機関の信用情報に載り、滞納が解消された後も5年間は消えません。

その影響は、家のリフォームローンや車のオートローン、ショッピングローンといった新たな借り入れの審査や、新しくクレジットカードを作るときの審査などにマイナスに影響します。

ただし、マイナスに評価されたからといって、審査に落ちるとは必ずしもいえません。1回の延滞だけならとくに気にしないが過去に何度か延滞していればダメなど、審査する側が信用情報を読み取って独自の判断基準で総合的に審査する位置づけだからです。

そんな中で、携帯電話の機種を変えて分割払いにしようとしても審査に通らなかったり、前回の記事『災害時の「住宅ローン返済」意外と知らない基本』で触れたように、災害時の返済免除の適用が受けられないといったこともありうるので、甘く考えないことが大切です。

さて、マネー面から言えば、うっかり口座残高不足で住宅ローンを延滞してしまったことに気づいたら、できるだけ早く借入先の金融機関へ連絡するのがおすすめです。電話すれば、いつ返せるのかを確認されて、延滞損害金(遅延利息や延滞利息)を計算し、住宅ローン返済額と併せて指定の口座に振り込むように指示を受けるのが一般的です。

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