中国政府が抱えるドルという“爆弾”--ケネス・ロゴフ ハーバード大学教授

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 当面の間、本当の変化は中国から起こらなければならない。なぜなら、中国はドルの大暴落で失うものが最も多いからだ。今まで中国は輸出を増やすことで規模の経済を追求し、製品の質と付加価値の向上を成し遂げてきた。原則的にいえば、中国政府が、経済の成長モデルを「内需主導」へと転換できないと主張する根拠はない。

まず中国は、消費が盛り上がる前に社会的なセーフティネットを強化し、国内資本市場を深化させなければならない。現在、消費は国民所得の35%(米国は70%)を占めるにすぎず、拡大の余地は十分にある。

そして、中国の指導者はすでに、米国の短期国債を退蔵することは問題であると理解している。そうでなければ、公然とIMF(国際通貨基金)に対し、基軸通貨としてドルに代わる通貨をつくるべきだと要求したりはしないだろう。

中国の懸念は正しい。ドル危機は目前に迫っているわけではないが、今後5年から10年の期間で見れば、非常に大きなリスクが存在することは間違いない。将来、中国は4兆ドルもの外貨準備を抱えたまま、ドル危機を迎えたいとは思っていないのである。世界が抱えるピッツバーグ後の課題を解決できるかどうかは、中国の双肩にかかっている。

Kenneth Rogoff
1953年生まれ。80年マサチューセッツ工科大学で経済学博士号を取得。99年よりハーバード大学経済学部教授。国際金融分野の権威。2001~03年までIMFの経済担当顧問兼調査局長を務めた。チェスの天才としても名を馳せる。

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