英語のつづりと発音が違う意外な「歴史的事情」 なぜ「オペンホーセ」と読まないのか

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英語はスペルと発音が異なっていることが多いですが、実は英語の歴史にまつわるある事件が関係しているようです(写真:Undrey/PIXTA)

こんにちは、デビットです。少し前に織田裕二さんが犬の役になって「オペンホーセ、オペンホーセ」と言っている面白いCMが流れていたのをご記憶でしょうか。これはオープンハウスという不動産会社のCMで、OPEN HOUSEをローマ字のように読むと確かにオペンホーセですね。

このCMのように、英語はローマ字のように見たままのとおりに発音しない単語が非常に多く、見た目どおりに発音したり、発音どおりにスペルミスをして恥ずかしい思いをしたことが、1度や2度はあるのではないでしょうか。

実はこれ、われわれ英語ネイティブな人間にもちょっとややこしい問題でして、もし英語の読みが見たままならば、覚える効率はもっと上がると思います。

英語の世界における「大陸移動説」

実は、この英語学習者を苦しませている英語のスペルと発音の違いは、英語史のうえで起きた大事件と関係があります。

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皆さんは大陸移動説をご存じでしょうか。その昔アメリカ大陸とヨーロッパ、アフリカ大陸などすべての大陸は1つの巨大な大陸で、それがプレートテクトニクスによって分離し、長い年月をかけて現在のような地形になったというものです。

1912年にアルフレッド・ウエーゲナーというドイツ人の研究者によって本格的に唱えられた説で、アメリカ大陸とアフリカ大陸の海岸線の形は似ているという誰もが気になる事象を説明した壮大な学説です。

英語の歴史も、この大陸移動説に匹敵する壮大な事件がありました。それが「大母音推移(Great Vowel Shift)」です。

なぜ現代のわれわれはこのような英語をしゃべっているのか、という歴史を研究する「英語史」という学問があります。大母音推移はこうした研究の中で、オットー・イェスペルセンというデンマーク人の言語研究者が明らかにした現象で、西暦1400年代ごろから1600年代ごろにかけて、英語の母音がずれてしまった現象のことを指します。

そこで今回は、単語の読みがなぜつづりどおりでないのかというギモンに応えるべく、少々英語の歴史についてお話しします。なお、字数も限られるので一部正確な説明は端折ってしまうのと、まだ研究が進められている分野であるため、不正確な部分もあるかもしれませんので、その点はご了解ください。

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