「撮り鉄」禁止だった時代の台湾鉄道の記憶

日本と台湾の「鉄」が築いた深いつながり

現在の台湾を代表する鉄道、台湾高速鉄道は日本の700系をベースとした700Tが走り、「台湾新幹線」ともいわれる。

台湾高速鉄道は、当初はフランスとドイツの技術で計画が進んでいたが、1999年9月に発生した大地震を受け、地震対策の技術が卓越していた日本の新幹線方式を採用することになった。その結果、日本と欧州(ドイツ・フランス)の3カ国の技術が混在するシステムとなった。

鉄道技術者の島隆氏(筆者撮影)

その際、2002年に台湾高速鉄路から技術顧問の依頼を受けて台湾に派遣されたのが、鉄道技術者の島隆氏だった。「新幹線の父」と呼ばれる鉄道技術者、島秀雄氏の次男で、新幹線0系の台車設計や、東北・上越新幹線の200系の車両設計責任者などを務めた人物だ。

同氏は技術顧問として3カ国の複雑な技術の混在や人間関係などの調整を図って高速鉄道の開業にこぎ着け、今も台湾の鉄道関係者から尊敬の念を集めている。

進む日台の「鉄道友好」

台湾に「新幹線」が開業すると、国鉄にあたる在来線の台湾鉄路局も近代化を促進した。最近では日本製のTEMU1000型「太魯閣(タロコ)号」やTEMU2000型「普悠瑪(プユマ)号」などの特急車両を導入してスピードアップを図っている。

だが、2018年10月21日に普悠瑪号がカーブで速度超過による脱線事故を起こし、乗客18人が死亡、215人が負傷する惨事が起きたのは記憶に新しい。事故の起きた区間は高速鉄道と競合はしないものの、熾烈な競争を展開する台湾鉄路局の急激な近代化、高速化への焦りではないか、と思うのは筆者だけであろうか。

一方で、高速鉄道の登場によって在来線の活性化も進み、鉄道の旅を楽しむ人たちが増えていること、さらに日本の鉄道にも目を向ける台湾人の旅行者、鉄道ファンが増えているのは喜ばしい限りで、かつて鉄道撮影が禁止されていた時代から見れば隔世の感がある。

高速鉄道の開業からすでに10年以上が経ったが、今後も日本と台湾でお互いの鉄道に関心がより高まることを期待したい。

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