あの京都から「日本人観光客が減った」深い理由 観光地の魅力減少させる「観光公害」のヤバさ
また、2019年の7月に発表された「じゃらんリサーチセンター」による2018年度の宿泊旅行調査結果では、京都の宿泊者数は全国7位であり、「大人が楽しめるスポットや施設・体験が多かった」では5位と健闘するものの、「地元ならではのおいしい食べ物が多かった」29位、「地元の人のホスピタリティを感じた」18位など、例えば8分野のうち4分野で1位を占める沖縄に比べるととても「日本一魅力的な観光都市」などと胸を張れるものではない。さらに前年度に比較しても8分野中6分野で順位を下げているのである。
近年は日本全体で国内旅行者数が減少傾向にあるとはいえ、これらのデータや調査結果からは、「日本人の京都ばなれ」がひそかに進行しているさまを見て取ることができるかもしれない。
京都から日本人が減った理由
すっかり決まり文句となった「若者の〜ばなれ」が往々にして「若者ではない人」の一面的な物事の捉え方を示すものでしかないように、「日本人の京都ばなれ」にも、その言葉に安易に乗っかる前にその背景に目を向けることも重要である。
例えば日本人宿泊者数の低下の背景としては、「お宿バブル」を引き起こした宿不足の結果、外国人観光客と日本人観光客の間で部屋の奪い合いが起こっていることが指摘されている。気軽な国内旅行として京都を訪れようと思う日本人観光客と、一大イベントである海外旅行として京都を訪れようと思う外国人観光客では、宿を予約するタイミングが違うのだ。
つまり「よし、はるばる日本にいくぞ!」という意気込みの外国人たちが旅行の数カ月も前に部屋を押さえてしまうため、「来月の連休、ちょっと京都でも行ってみようか」とふと思い立った日本人が宿を取ろうとホテル予約サイトを開く頃には、時すでに遅し。希望の日程と適当な予算でプランを検索してもどこも満室。「仕方ない、京都は諦めるか」と、また違う観光地の名前で検索し始めることになってしまうのである。
また日本人にとっての京都の魅力・人気の低下に関しても、京都市の発表した平成30年度「京都観光総合調査」にその背景をうかがわせる調査結果がある。
実際に京都を訪れた日本人観光客への調査で、9割を超える人々が「京都観光に満足した」と答えている一方、「京都観光中に残念なことがあった」と答えた日本人も4割を超え、その多くが「観光客が多すぎて観光を楽しめなかった」「観光客のマナーが悪い」「いつも道路が混んでいる」などオーバーツーリズムに起因すると思われるものなのだ。
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