激増するマイホーム競売、不況でローン破綻者が続出《特集・不動産/建設》
現在の不景気下では金利先高感がなく、10年程度の「短期間の固定金利特約型」や、半年に1度金利水準が見直される「変動金利型」住宅ローンで借り、金利の状況を見て「長期間の固定金利型」に切り替えるという利用者が主流のようだ。
ただ、「金利上昇時にうまく切り替えのタイミングをとらえるのは難しい」(ファイナンシャル・プランナーの大倉修治氏)。収入の上昇があまり期待できず、しかも現時点で子どもが小さく、今後は学費等で支出が増えていくという家庭の場合、最初から長期の固定金利型を選んだほうが無難だろう。
亀井静香金融・郵政改革担当相は、金融機関からの借入金返済に苦しむ中小企業や住宅ローンを抱える人の支援策として、返済を3年間程度猶予する政策の早期実現を表明している。
だが一方で、麻生政権下では「住宅ローン減税枠拡大・延長」など景気対策の一環として住宅取得促進政策が打ち出された。
過去、バブル崩壊後の景気対策の一環として投入された「頭金ゼロ」「融資上限額の増加」「貸し出し要件の緩和」などの政策は、本来なら借り入れができない所得が低い人でも簡単にマイホームが持てるような錯覚に陥らせ、過剰な借り入れを促進。その結果、住宅ローン破綻者が増加する一因になった。
通常、年収の4倍までを融資上限としていた銀行では、利用者の属性によっては年収の4~5倍を超える住宅ローンも組みやすくなっており、時には年収の7~8倍を超えるケースもあるという。実際、平均年収はほぼ横ばいにもかかわらず、個人向け住宅ローン融資額は05年以降急増している。