若手社員に対するインタビューをしているときにも、給与に差をつけることを期待するコメントを頻繁に聞きます。
かなり前に終わったと思っていた終身雇用や年功序列の仕組み。それを信じて入社してみたら、人材の登用や活用、賃金のあり方などが旧態依然のまま残っている。裏切られたというような感覚をもって、若手社員は会社を辞めているのではないでしょうか? だとすれば正社員同士で差のない給与制度は、見直すことも視野に入れる必要があると言えるのではないでしょうか。
若手社員は、自身の就職活動を振り返って、総合職採用より「職種別採用を望む」声が大きく上回る時代になりました。
非正規社員と正社員との格差を埋める一方で、正社員の給与には格差をつけるべきタイミングになったことを象徴するデータかもしれません。
ということは日本の会社においても、ジョブ・ディスクリプション(職務記述書)上で求められる「職責」を明確にすべきでしょう。
ジョブ・ディスクリプションとは、職務の内容を詳しく記述した文書のこと。欧米の企業では、日々の業務はもちろん、人材採用して給与を決めるために、大変重要なものです。
項目としては職務のポジション、目的、責任、内容と範囲、求められるスキルや技能、資格などがあります。この職責に給与がひも付きます。
グローバル企業では当たり前のことなので、海外展開を進めている企業では職責に基づく給与制度に移行するケースが増えています。専門性の高い中途採用では活用は広がりつつあります。
給与制度を見直すべきタイミングにきている
若手社員も総合職採用から専門職採用が中心になるのであれば、職責を定めて、新入社員から職種で給与が違う。入社から間もない社員であっても、成果や貢献に応じて給与が上がる仕組みが構築できます。
すでに一部の企業は動き出しています。
2018年に厚生労働省が行った、『賃金構造基本統計調査』で得られた結果によると、大学新卒の初任給の平均給与は約20万6700円となっていますが、NECは10月から研究職を対象に、新卒年収が1000万円を超える可能性がある給与を支給すると発表しています。
また、ソニーがAIなどの分野で高い能力がある新入社員を優遇して、730万円に届く水準となりうる給与制度を導入しました。
ベンチャーの世界では、エンジニア採用などの職種別採用、職責に基づき入社から間もなくして差がつく給与制度の導入が“当たり前”になりつつあります。
これだけ総合職の格差なき仕組みにメスを入れる会社は増えているのです。こうした趨勢を踏まえれば、「今のみんな同じ」の給与体系のままでいい、と言い切るのは少し危険な感じがします。自社は例外と言い張るのでなく、正社員の給与制度について見直しをするべきタイミングになりつつあると、経営者は自覚したほうがいいかもしれません。
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