東急の「南町田」再開発には欠けている点がある 施設の周辺が見えない「閉じた空間」だ

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こうして再開発エリアだけを見れば多くのテナントが集まる商業施設や強いコンテンツ力を持つ集客施設、そして多様な過ごし方ができる公園が一体となり、エリア内では多様な過ごし方ができるように感じられる。アクセスも鉄道であれば渋谷から東急田園都市線で1本、小田急の相模大野駅からは土日の運行であるが新たに直行の路線バスが運行される。

車でも国道16号や国道246号といった交通量の多い道路に隣接し、東名高速道路の横浜町田インターチェンジからも数分だ。観光客も含めて集客力はかなり強いといえる。目標としているグランベリーモールの倍の年間1400万人来場は決して難しくはないだろう。

しかし、「郊外まちづくり」という面からみればどうだろうか。

二子玉川とは違う

先述の通り、町田市と東急は南町田駅周辺の区画整理をはじめとした再開発を「南町田駅拠点創出まちづくりプロジェクト」と名付けた。グランベリーパークの青木太郎総支配人は「20年30年の単位でまちをどう活性化していくか考え、オープンなつくりにした。(この施設は)南町田だけではなく周辺地域を巻き込んだ形での活性化のためのきっかけとなる施設」という。町田市も市の副次核としてこの南町田を位置づけ、地域の人々の住み替えを促し、まちを構成する人々の新陳代謝を図りたいという。

これは東急が近年進めている郊外まちづくりに関する取り組みのひとつととらえることができる。実際に以前このエリアの説明会が開かれた際には、南町田の再開発については広域から人々に来てもらい、田園都市線のまちを知ってもらうもので、二子玉川やたまプラーザとはまた違うまちづくりであるという趣旨の話を東急の担当者から聞いた。

南町田グランベリーパーク駅がある東急田園都市線沿線は東急が多摩田園都市として開発したものの、近年高齢化が課題となっており、たまプラーザではコミュニティづくりの取り組みが行われている(2019年1月17日付「東急『田園都市』にも忍び寄る高齢化の危機」参照)。当然、南町田グランベリーパーク駅周辺の再開発ではそういった田園都市線沿線のほかのまちの事情も考慮し、新たな郊外まちづくりの一つのモデルとしたいと考えているはずだ。

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