ゾゾの新たな船出にどうしても拭えない「不安」 進むアウトレット化、出店企業との不協和音

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前澤氏はゾゾの株式を売却する理由について「いろいろな課題に直面している今、経営体制を抜本的に変えるタイミングだった」と説明するが、一連の失策が辞任のきっかけとなった可能性は大きい。

ZHD傘下入り後のゾゾはどうなるのか。ZHDの川邊健太郎社長は「グループの総力をもってゾゾタウンの購入者数を爆増させる」と宣言。20~30代の女性の利用が多いゾゾタウンへ、30~40代の男性ユーザーに強いヤフーからの送客を促すという。ヤフーが10月に開設したECサイト「PayPay(ペイペイ)モール」にもゾゾタウンを出店させる予定だ。

ゾゾタウンに出店する中堅アパレルの幹部は「ヤフー顧客の流入は一定程度見込める」と期待する一方、大手アパレルの社員は「(ZHD傘下で)量販店的なイメージが強まる」と漏らす。アウトレットモール化の懸念を打ち消すほどの送客効果が生まれるかどうかは、現時点で未知数だ。

楽天・三木谷社長はゾゾへの対抗心を隠さない

ZHD・ゾゾ連合のライバルによる攻勢も強まっている。楽天は2019年10月にファッション部門のサイトデザインを一新し、同10月から東京で開催されているファッションウィークの冠スポンサーを務める。三木谷浩史社長はZHD・ゾゾへの対抗心を隠さない。

前澤氏が去った後の経営体制にも不安が残る。ゾゾは創業来、事業の方向性を決めるに当たり前澤氏のアイデアや発信力に依存してきた。後任の澤田宏太郎新社長は「この先の成長には安定感が重要」と語り、組織経営を重視する考えを示している。ただアパレル業界関係者は「(支払いを2カ月先まで延ばせる)『ツケ払い』など斬新なサービスで話題を振りまくのがゾゾの強みだった。親会社との調整などで時流に合った独自施策を打ちづらくなれば、ほかのECモールとの差別化は難しくなる」と懸念する。

業界の革命児と呼ばれてきたゾゾは、再成長の一歩をどう踏み出すのか。新体制は難しい舵取りを迫られる。

『週刊東洋経済』11月9日号(11月5日発売)の特集は「EC・決済覇権バトル」です。
真城 愛弓 東洋経済 記者

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まき あゆみ / Ayumi Maki

東京都出身。通信社を経て2016年東洋経済新報社入社。建設、不動産、アパレル・専門店などの業界取材を経験。2021年4月よりニュース記事などの編集を担当。

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