ゾゾの新たな船出にどうしても拭えない「不安」 進むアウトレット化、出店企業との不協和音

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ゾゾタウンの成長自体にも陰りが見え始めている。2020年3月期の中間(4~9月)決算では、直近2年間で2~3割の伸びを続けた商品取扱高が、前年同期比プラス1割強にとどまった。 

懸念されているのが、アパレル企業による“ゾゾ離れ”だ。これまでECサイトの運営ノウハウが自社になかったアパレル企業の多くは、集客力があるゾゾタウンにECの多くを頼ってきた。商品撮影から出荷までフルサービスで業務を受託するゾゾタウンはアパレル企業にとって手間がかからない一方、平均3割とされる販売手数料がネックになっていた。ゾゾの専用倉庫に置く商品在庫も、ゾゾタウンでのショップの売り上げが伸びていれば問題なかったが、最近は返品リスクが高まりつつある。

アパレル企業にとっては、ブランドイメージの悪化も懸念材料だ。セレクトショップを軸に取りそろえ、ファッション好きの若者の支持を得たゾゾタウンだが、近年は低価格ブランドの出店が急増。昨年7月に郊外中心に展開する「しまむら」が出店した際は、トップ画面でしまむらのロゴを強調するほどの歓迎ぶりだった(現在は退店)。「以前は高感度なブランド中心でサイトの特別感もあったが、一気に量販店化が進んだ」(アパレル幹部)。その結果、商品単価の下落が進みクーポンでの値引き合戦も白熱。中・高価格帯のアパレルの間でイメージへの悪影響を危惧する向きが強まった。

ゾゾ離れの動きを加速させたのが、2018年末に始めた「ZOZOARIGATOメンバーシップ」だ。月額500円または年額3000円の会費を払えば、ゾゾタウン上の商品が常時1割引になるという有料会員向けサービスだったが、あからさまな割引価格の表示に出店ブランドが猛反発。直後に「23区」などを運営するオンワードHDがゾゾタウン上から撤退するなど混乱があり、サービスは開始からわずか5カ月で廃止となった。

大手アパレルは自社ECの強化を進める

サイト全体の“アウトレットモール化”が進む中、大手アパレル企業の間ではゾゾタウンに出す商品を限定し、新作商品などは自社サイトで販売する動きが広がっている。自社ECであれば販売手数料もかからず、在庫は店舗と一元的に管理できる。とくに「JOURNAL STANDARD」を手がけるベイクルーズなどが自社ECに力を入れ始めている。

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