マクドナルド、原田体制の完全なる終焉 名実ともにカサノバ氏が1トップに

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さらに、現場を知り尽くした、たたき上げの人材も続々と会社を去っている。実際にこの数年で、同じ外食業界のすかいらーくにマーケティングや店舗業務の担当幹部など、少なくとも10人以上が転職。最近でも、管理部門の要職を歴任した村尾泰幸氏がバーガーキング・ジャパンのトップに転じている。

マーケティングにヒットが生まれなくなっただけでなく、現場や店舗運営の力が弱まり、精緻な連携が取れなくなったことで、業績は凋落を続けている。「成熟市場なだけに、一度歯車がかみ合わなくなると、それぞれの歯車に強烈なプレッシャーがかかってくる。立て直すのは容易ではない」(前出の元幹部)。

カサノバ氏が打ち出す“原点回帰”

カサノバ氏はファミリー重視の原点回帰を打ち出す(撮影:今祥雄)

カサノバ氏は昨年8月に事業会社のトップに就任して以来、カウンターにあるメニュー表や持ち帰り用のビニール袋を復活させる一方、24時間営業店舗の削減、期間限定商品の投入再開など、原田路線の否定とも取れる手を打ってきた。

さらに、今年2月に開いた2014年の経営戦略発表会では「家族客の取り込みを目指す」と、原点回帰を打ち出している。

ただ、サービスレベルの低下と人材の離脱が続く中、業績浮上の兆しは見えない。1月の既存店売上高こそ、7カ月ぶりに前年を上回ったものの、依然として客数減に歯止めはかかっていない。複数の業界関係者は「今年は消費増税も控えており、マクドナルドは業績浮上について打つ手はない」と口をそろえる。

眼前に横たわる苦難を乗り越え、マクドナルドは再び輝きを取り戻せるのか。名実ともにトップとなったカサノバ氏は厳しい舵取りを強いられそうだ。

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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