楽天に怒り爆発、「送料改革」に出店者が反旗 公取委もプラットフォーマーの動きを注視

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公正取引委員会は10月31日、「デジタル・プラットフォーマーの取引慣行等に関する実態調査(オンラインモール・アプリストアにおける事業者間取引)」の報告書を公表し、出店者などの事業者に「不利な条件を押しつけているおそれがある」と指摘した。

同調査は公取や経済産業省、総務省が昨年立ち上げたデジタルプラットフォーマーに関する検討会での議論を経て、とくに問題点の指摘が多かったオンラインモールとアプリストアについて、運営事業者、出店者などに調査したものだ。

報告書では、今後の取り組みについて「特に(ECモールなどの)運営事業者が、①どのように規約を変更しているのか、②利用事業者の取引データを自らの直接販売に利用していないか、③検索アルゴリズムを操作することなどにより自己又は自己の関連会社を優遇していないか、という点については、デジタル・プラットフォームに特徴的な問題も含んでおり、(中略)引き続き注視していく」と危機感を示している。

楽天ユニオンでも、前述の送料無料ライン導入施策に加え、楽天が店舗向けに提供する決済システム「楽天ペイ」の導入強制、出店者が規約違反を起こした際の罰金制度など、さまざまな規約改定について「一方的で不当なもの」として情報発信を強化している。公取の指摘する①の内容とも符合しており、反発の声はさらに大きくなりそうだ。

自社ECを強化する出店者も

出店者の中には自社ECを強化する戦略に舵を切り、ECモールへの依存度を下げようとする動きも出始めている。とはいえ、楽天やアマゾンの集客力はなおも絶大であり、楽天ユニオンへの参加メンバーにも「やめるにやめられない」という出店者は少なくない。

携帯電話事業への参入でも、基地局設置の遅れなどを指摘され「つまずき」の途上にある楽天(撮影:風間仁一郎)

「楽天には感謝している部分もある。実店舗の売り上げがどんどん低迷してきたときに、ECがなければ人生終わっていたかもしれない。今の楽天のやり方には賛同できないが、昔のように、規約をころころ変えない”大人の会社”に戻って、また一緒に成長を目指したい」。組合活動の中心メンバーの一人はそう話す。

1997年、三木谷氏率いる6人の従業員で開業された楽天市場。「シャッター通りと化す地方の商店街を目の当たりにする中で、ECで日本をエンパワーメントしたいと思った」。三木谷氏は現在でも、当時のこのエピソードをたびたび口にする。だが、課金体系の一方的な変更などで、楽天に対する出店者の不満は長年くすぶってきた。さらにここ数年のプラットフォーマー間の競争が一段と激化し、出店者へのしわ寄せはいよいよ拡大。「我慢の限界」と感じる出店者が一気に増えたとみられる。

携帯電話事業などにも挑戦が広がる中、基幹事業である楽天市場の安定と信頼獲得はより重要性を増す。少なからぬ出店者との間に生まれてしまった亀裂を修復する必要があるだろう。

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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