国産「三菱ジェット」6度目の納入遅れに現実味

米社が契約解除、20年予定のANA納入も困難に

三菱重工のスペースジェット(旧MRJ)は開発遅れが響き、契約解除が発生している(提供:三菱航空機)

三菱重工業が社運をかけて挑戦している小型ジェット旅客機「スペースジェット(旧MRJ)」に逆風が強まっている。

同社は10月31日、アメリカの航空会社「トランス・ステーツ・ホールディングス」(TSH)と結んでいた「M90」(座席数90席クラス)について、最大100機の契約が解除になったと発表した。スペースジェットの開発遅れが続いていることが背景にある。

最後の試験機の完成は年明けにずれ込み

スペースジェットは2008年に事業化を決めてから5度の納入延期を繰り返し、今年に入ってようやく、アメリカの連邦航空局による型式証明取得に向けた飛行試験プログラムに入っていた。

だが、必要な試験機のうちの最後の1機の完成が年明けにずれ込む見込みとなっている。配線の設計に変更があり、安全性の確認に時間がかかっているためだ。

三菱重工の泉澤清次社長は10月31日に開かれた決算会見で、「(試験の)スケジュールの入れ替えや試験項目の検討をしている。そのあとのスケジュールを今見直しているのでコメントは避ける」と述べるにとどめた。仮に6度目の延期となれば、2020年夏ごろに予定している全日本空輸(ANA)への初納入は難しくなりそうだ。

今回発表されたTSHとの契約解除は、アメリカ国内の機材制限を理由としている。アメリカの大手航空会社が労働組合と結んだ労使協定「スコープクローズ」で、TSHなど地方路線専門の運航受託会社は、90席クラスのM90を運航できない。三菱重工などはこの規制が緩和されてM90でも運航できることを期待していたが、その見通しも立っていないという。

三菱重工はスコープクローズに対応した「M100」(65~88席)の受注に向けた協議を続けていると説明しており、MRJを開発する三菱航空機の水谷久和社長は「M100が北米市場を主導する機体になると確信している」とコメントした。

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