「令和おじさん」菅官房長官に吹き始めた逆風 経産相辞任、進次郎失速などで広がる批判
ただ、菅氏とともに「政権の3本柱」と呼ばれる二階俊博幹事長は月刊誌のインタビューなどで「(総裁候補として)十分耐えうる人材」などと評価。「首相の意中の後継候補」(官邸筋)とされる岸田文雄政調会長の後見人である古賀誠・岸田派名誉会長も「菅氏は土の匂いのする政治家」などと表現し、菅氏を次期首相の有力候補に挙げている。
こうした状況の変化を受けて、菅氏は7月の参院選で安倍首相や小泉氏とともに全国を駆け巡った。
その一方、岸田派の重鎮で元自民党参院議員会長の溝手顕正氏が6期目を目指して出馬した参院広島選挙区(定数2)に、2人目の候補として「菅氏の子飼い」とされる河井克行衆院議員(現法相)の妻・案里氏を擁立。結果的に溝手氏が落選した。
小泉氏の環境相起用も後押し
河井案里氏擁立には岸田派が猛反発し、岸田氏と親しい安倍首相も「そんなことをしていいのかといぶかった」(周辺)とされる。党内では「ポスト安倍を見据えた菅氏による岸田潰しでは」(岸田派幹部)との臆測も広がった。
もともと政府与党内には「在任中の首相に何かあった場合には、菅氏が後継者」との見方はあった。「突然の首相退陣などで政局が混乱した場合は、安倍政治を継承できるのは菅氏しかいない」(自民長老)という理由だが、それは「混乱回避のための暫定首相との位置づけ」(同)だった。しかし、参院選で振るった辣腕などから、党内では「菅氏は本気でポスト安倍を狙うのでは」(二階派幹部)との見方が広がった。
そうした流れをさらに加速させたのが、首相が9月11日に断行した内閣改造・党役員人事の裏舞台での菅氏の動きだ。
安倍首相がいったんは模索した幹事長の岸田氏への交代を、最終段階で「二階氏を外せば政権が弱体化する」などとして首相に断念させたのが菅氏だとされる。さらに、閣僚人事の目玉である小泉氏の環境相起用も、起用を躊躇していた安倍首相の背中を押したのは菅氏だとみられている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら