日本で報じられない「バルセロナ」デモの実際

カタルーニャ州独立に対する市民の本音

デモの会場となった大通りでは、参加者の年齢層が極めて幅広いことが印象的だった。車椅子に乗った高齢者の姿やベビーカーを押した若夫婦の姿もあり、平和的なムードが流れていた。

周辺のカフェや商店は通常通り営業しており、のどかな陽気の中で通りに並べられたテーブルに座り、ビールで喉を潤すリラックスした人々も目についた。近くにあるガウディが手がけた世界遺産の建築カサ・バトリョ周辺は観光客でにぎわっていた。

一方、28日夜には、バルセロナから郊外の投宿先に戻ろうとしたところ、バルセロナ・サンツ駅に独立派のデモ隊数千人が押しかけて警官隊とにらみ合い、駅への入場ができなくなっていた。現地在住者は「ここ数週間は政治が安定せず、電車で移動中に3時間も立ち往生したこともある」と嘆く。夜間には、デモが荒れることも想定され、「観光するなら日没前に戻る日程を組むのが重要だ」と旅行業界関係者はアドバイスしている。

ツイッターやユーチューブといった手段で、バルセロナの実情を伝える動きも目立った。そこでは、デモの背景や全体像、市民の考えなど冷静な情報提供に努めていた印象だ。情報の受け手としては、マスメディアが伝える衝撃的な情報だけに頼らず、多様な手段を使って自ら判断する重要性を、バルセロナのデモは改めて示したといえよう。

なぜ独立機運が高まったのか

年間3200万人が訪れる観光都市、バルセロナが属するカタルーニャ州は、もともとカタルーニャ公国として独自の政治体制を持っていた。が、1975年まで続いたフランコ独裁体制下では、カタルーニャ語の使用は禁じられ、スペイン政府との確執を抱えてきた。

そんなカタルーニャ州で独立機運がくすぶり始めたのは2000年代前半。アスナール首相の時、再中央集権化を図る動きに反発が強まった。ある住民は「2000年代半ばごろまでは独立を意識したことはなかった」と振り返る。2010年からは独立を目指す動きが徐々に活発化。カタルーニャ人が求めていたのは、自主権の尊重以外に、州の間で不公平感が根強い税収配分や徴税方法の見直し、鉄道などインフラ強化などだ。

バルセロナ市内に掲げられたカタルーニャの独立を支持する旗(筆者撮影)

しかし、スペインGDPの20%を占めるカタルーニャ州の独立はスペイン政府にとっては痛手である。カタルーニャという政治主体「ネイション(国民)」の存在を認めるかどうかの綱引きが政府とカタルーニャの間で続いた後、政府の約束破りや強権的手法にカタルーニャ人たちの忍耐は限界に達し、2017年、10月1日、独立の是非を問う住民投票を強行。州政府の集計では独立賛成票が90%に達したものの、政府はこれを認めず、主要な政治家を拘束した。

スペイン最高裁は10月14日、住民投票を主導したジュンケラス前州副首相に反乱罪などで禁錮13年の有罪判決を言い渡したほか、独立派の前州閣僚ら8人に禁錮刑、3人に罰金刑を下した。カタルーニャ市民の間では「民主主義的な権利を行使した政治家たちへの判決としては重すぎるものであり、極めて政治的だ。話し合いによる解決を望まない政府の強硬姿勢が改めて鮮明になった」と反発が広がった。

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