NYダウは最高値更新後、暴落の可能性がある

FRBの過剰金融緩和がもたらす大波乱に注意

前回のコラム「サウジへの攻撃で「劇変」した原油市場の常識」では、エネルギー価格の上昇に伴い中長期的にインフレが進行する可能性を指摘していたが、これだけの一連の物価指標の低迷は大きなサプライズと言える。もっとも、これで将来的なインフレに対する懸念が後退したわけでは決してない。インフレ圧力の後退を受けて、米連邦準備制度理事会(FRB)の追加利下げに対するハードルが下がったことの意味は大きい。年末に向けて金融緩和がさらに進むことによって、短期的にせよ資産価格が上昇、それに伴い年明け以降にインフレが加速する可能性は、むしろ高まったと見ておくべきだろう。

9月には企業の景況感指数も悪化、10月1日に発表された9月のISM製造業指数(PMI)は47.8と前月の49.1から低下、2009年6月以来の低水準を記録した。同3日のISMサービス指数52.6と、2016年8月以来の水準まで低下、月初の急落の主因となったことは記憶に新しい。こうした一連の経済指標の弱気サプライズを受け、10月29~30日に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利下げが行われるとの見方も、急速に高まってきた。

シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)が、短期金利先物市場の動向から算出しているFRBの利下げ予想のページ( Fed Watch) によると、10月の会合で0.25%の利下げが行われる確率は90%超まで上昇している。12月の会合までに2回の利下げ(0.5%) が行われる確率も約24%となっており、市場の利下げ期待は依然として高いことがうかがえる。

もし、10月に利下げが行われれば3会合連続となり、景気が穏やかな回復基調を維持し、株価が依然として高値圏にとどまるという状況下では異例の決定となる。世界的な景気減速などに配慮した予防的な措置という理由に、インフレの低迷を食い止めるという大義名分が加わったことで、ジェローム・パウエルFRB議長も (利下げの) 決断がしやすくなったのではないか。

米市場は史上最高値更新も

また11日にFRBが短期金融市場の安定化を図る目的で、月間600億ドルの米財務省短期証券(Tビル)の購入を開始する方針を発表したことにも注意が必要だ。購入は10月半ばから始まり、少なくとも2020年4~6月期までは継続するという。FRBは今回の決定は技術的なもので、金融政策の方針変更を意味するものではないとしているが、市場がそのような説明を素直に受け取ることはないだろう。FRBのバランスシートの拡大が、市場への資金流入を促す可能性は高いと思われる。

こうした状況に大きな変化が見られなければ、市場の注目が米中貿易問題からFRBの金融政策に移る中で、月末にかけて改めて騰勢を強める展開となるだろう。10月のFOMC(米公開市場委員会)で0.25%の利下げが決定され、12月の会合での追加利下げの可能性を示唆するような内容となれば、買い意欲も一気に高まることとなりそうだ。米中貿易交渉の進捗状況には引き続き十分な注意が必要だが、今回の部分合意が破棄され、貿易交渉が再び振り出しに戻ってしまうようなサプライズでもない限り、年末までのいずれかの時点で主要株価指数が史上最高値を更新する展開となるのではないか。

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