日立は、なぜ「ディズニー」とタッグを組むのか 東原社長が明かす「IoT活用」の可能性とは?

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――ライバルのドイツ・シーメンスはIoT基盤「マインドスフィア」を展開し、日立より導入コストが低いです。

シーメンスは工場やその周辺に特化している。日立はそこで競争するのではなく、ルマーダはそのうえにある。例えば、ある企業が複数の工場を所有し、ヨーロッパで100万個、アジアで200万個、日本で100万個造っているとしたとき、ルマーダにつなぐと、どこの市場でどれだけ売れそうか、どこで生産するとロジスティクスも含めて安いかなどを含めて全体最適がわかる。

つまり工場ごとにターゲットを絞った最適化はルマーダではあまりやっておらず、もっと全体最適を目指している。そういった意味では、シーメンスとつないでも別にいいわけですよね。

GAFAをライバルと思ったことはない

――デジタルで効率化するスマート工場化などは、ほかのIT企業なども参入しています。

日立が持っている鉄道車両やその運行管理、自動車やエレベータなど制御技術(OT)とからめたITでは他社には負けない。工場の自動化だってわれわれはできるし、それに全体最適をひっつけたらそれは負けないと思う。今度、(ロボットSI事業を手がける)アメリカのJRオートメーションテクノロジーズを買うので、ロボットの最適化もできるようになる。

東原敏昭(ひがしはら・としあき)/1955年生まれ。徳島大学工学部卒。1977年日立製作所入社。2007年常務。2008年日立パワー・ヨーロッパ社プレジデント。2010年日立プラントテクノロジー社長。2011年日立製作所常務、2013年専務、2014年社長兼COO、2016年4月から現職(記者撮影)

もっともIT系だけで処理できる分野もあり、それはほかの企業でもできるので参入障壁は高くない。そこは課題解決するために顧客と上流から一緒に解決していくパートナーシップを早く組んで他社と戦っていく。ただIT企業は実際の運用になるとITのオペレーションはわかるけど、実際の工場の泥臭いプロセスはなかなかわからないだろう。

――GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)はライバルになりますか?

日立だけですべてやれる時代ではないし、ルマーダもオープンでエコシステムみたいな形になっている。マイクロソフトのアジュールなど各クラウドとも連携しており、全部パートナーだ。起点はお客様視点なので、お客様が何を欲しがっているか、その課題を解決するためにパートナリングしながら提供していく。それを協創と言っており、そういう時代になってきている。だからGAFAをライバルと思ったことはない。

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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