「Q3スポーツバック」は苦境のアウディを救うか 国際試乗会に参加、乗り味や外観の特徴は?

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45TFSIのほうが40TDIよりもエンジンを高回転まで回せば明確に力強いが、発進直後の低回転域ではディーゼルならではの特性によって40TDIのほうが力強く加速する。特性の違いこそあれ、どちらも十分な動力性能を発揮するので、静粛性とスムーズなエンジンの回転を重視するならガソリン、燃費と常用域での力強さを重視するならディーゼルと、用途や好みで選べばよい。

ただし“今っぽい”35TFSIの導入はほぼ間違いないだろうが、45TFSIクワトロと40TDIクワトロが日本仕様として入ってくると正式に決まったわけではないので、現時点では参考程度に知っておいていただきたい。

日本の都市部にマッチするクルマ

パワートレーンを問わず、Q3スポーツバックはワインディングロードではキビキビと活発な挙動を見せつつ、高速道路では十分な快適性をもっていた。コイルダンパーとダンピングコントロール付き(マグネティックライド)ショックアブソーバーの組み合わせによる足まわりは、緩やかなカーブとアップダウンを伴う制限速度100km/hのドイツの一般道で最高のバランスを見せた。

Q3スポーツバックは日本で受け入れられるか(筆者撮影)

これは2種類ある足まわりの仕様のうちスポーツ仕様。これを導入すると日本の平均速度では硬いと感じられる可能性があるため、日本仕様にはよりソフトなコンフォート仕様が採用される可能性が高い。例によって決まってはいないようだが、これについては明確にそうすべきだと思う。

ハンドリングうんぬん、動力性能うんぬんの前に、まずこの若々しく、躍動的なスタイリングは日本の都市部でもよく映えるはずだ。カクカクとしたエッジーなプロポーションにブラックグリルとアグレッシブなルックスにもかかわらず、中身はマイルドハイブリッドの1.5リッターエンジンというギャップは、今の時代、暴力的な速さを備えるよりもプラス要素になりうる。

上質なクルマは欲しいものの攻撃的なクルマはいらないというのが、多くの輸入車ユーザーおよびファンのなんとなくの心情ではないだろうか。Q3スポーツバック、とくに35TFSIはその辺の需要に応える可能性があるクルマだと思う。インポーターには早期の日本導入をお願いしたい。

塩見 智 ライター、エディター

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しおみ さとし / Satoshi Shiomi

1972年岡山県生まれ。関西学院大学卒業後、山陽新聞社、『ベストカー』編集部、『NAVI』編集部を経て、フリーランスのエディター/ライターへ。専門的で堅苦しく難しいテーマをできるだけ平易に面白く表現することを信条とする。自動車専門誌、ライフスタイル誌、ウェブサイトなど、さまざまなメディアへ寄稿中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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