ベンツ、BMW、アウディに吹き始めた逆風の正体 米中貿易戦争、罰金、先進化対応など課題山積

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プレミアムカー3大ブランドの、2018年の業績が出揃った(撮影:梅谷 秀司、今 祥雄)

メルセデス・ベンツ、BMW、アウディからなるドイツのプレミアムカー3大ブランドの、2018年の業績が出揃った。

3ブランドともにグループの純利益が2割前後減

リーマン・ショックのあと10年近くにわたり、アジア・北米市場の順調な拡大を受けて利益と販売台数を増加させてきた3ブランドだったが、昨年はいずれもこれまでより厳しい戦いを強いられ、グループ(傘下ブランドおよび金融子会社含む)の純利益を2割前後も減らした。

メルセデス・ベンツとBMWに共通する要素は、中国とアメリカの間に勃発した貿易戦争により、アメリカ生産車両の中国における販売価格が急騰、消費が鈍化したことだ。両社ともSUV(スポーツ多目的車)の生産をアメリカ工場で行っていることから、これらの販売は大きな影響を受けた。BMWグループはアメリカから中国への自動車輸出額が2017年から2018年にかけて14%減り、営業利益に対する影響は2億7000万ユーロ(約340億円)に及ぶと明らかにした。

アウディに打撃を与えたのはディーゼル問題による、罰金8億ユーロ(約1000億円)を含む12億ユーロ(約1500億円)の特別損失だ。これを除けば売上高利益率は6.0%から7.9%に上昇したとアウディは表明している。さらに新燃費基準WLTPへの対応が遅れ、欧州市場で納車が滞ったことが販売面で足を引っ張った。

2019年にはいわゆるブレグジットの影響も懸念される。BMWグループは、MINI(ミニ)の生産を今年4月のあいだ完全に休止するほか、「合意なき離脱」によりイギリスから欧州への輸出に高額な関税がかかる状況になれば、多額のコストを費やしてでも一部モデルの生産を欧州本土に戻すことも明らかにしている。

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