ゴッドタン「弱者のために番組作る」笑いの流儀 犯罪歴発覚したEXIT兼近の出演強行した真意

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「ゴッドタン」は、深夜枠でありながら熱心なファンを多数抱えるテレビ東京の看板番組だ。とくに、お笑いファンの中には熱烈な支持者が多く、芸人や業界人からの評価も高い。番組の企画から派生して大規模な音楽ライブイベントが行われたり、映画が作られたりもしている。間違いなく今の時代を代表するお笑い番組の1つである。

「お笑いをやっているなら、人が更生することを信じないわけにはいかない」という佐久間の発言からは「ゴッドタン」という番組が何を大事にしているのか、ということがうかがえる。「ゴッドタン」とはまさにそういう番組なのだ。

「勝ち組の人のための番組ではない」

「ゴッドタン」という番組の企画には、追い詰められた人間の素顔を引き出して、それを笑いに変えるというものが多い。とくに、芸人がゲストで出るときには、ほかの番組で見せているようなわかりやすいキャラクターだけではなく、その裏に潜む本質的な部分までが白日のもとにさらされることになる。

例えば、ハライチの岩井勇気は「腐り芸人セラピー」という企画で、とげとげしい言葉で本質を突く「腐り芸」の才能を評価され、今ではすっかりそのイメージが定着した。絵本作家、オンラインサロン運営、イベントプロデュースなどさまざまなビジネスを手がけているキングコングの西野亮廣も、この番組では私服をビリビリに破かれたり、劇団ひとりの尻をなめさせられたり、散々な目に遭っている。

佐久間は「『ゴッドタン』は勝ち組の人のための番組ではない」と語っていたことがある。この番組では、芸人が肉体的にも精神的にもひどい仕打ちを受けたり、情けない思いをすることが多い。売れっ子の芸人でも、ほかの番組では見せていないような格好悪い姿をさらすことがある。

でも、それこそがほかでは味わえない笑いにつながっていて、この番組の魅力になっている。人が持っているダメな部分を笑いというポジティブな感情に変えるのが「ゴッドタン」の流儀なのだ。

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